2019.12.15
気候風土と見えない力と
最近、気候風土ということをもっと掘り下げて理解したいと思っています。
フランス語に「テロワール」という日本語の「気候風土」と近い意味合いの言葉があります。
フランスワインではテロワールをとても大切にしていて、隣り合った畑でも全然違った味のブドウ、ワインが出来るそうで、畑ごとに格付けまでされているそうです。
日本でも丹波篠山の黒豆や加賀レンコンのようにそこでしか作れない味があるように、周りの環境が野菜に与える影響は相当なものなのだと思います。
僕の地域では間違いなく里芋がそれに該当し、とても上質な里芋が育ちます。
今は廃れてしまいましたが、60年ほど前は京都や大阪の料理屋さんがこぞって買い求める程の上質な里芋の産地だったそうです。
気候風土について何からどうやって勉強していくか、正直まだ漠然としているのですが、例えば、近くに見える山の成り立ちや植生、山から畑にかけての地形、そこから生まれる水の流れ、畑と水の流れの関係性や土壌が形成された歴史、春夏秋冬での気候の変化、それら全体の循環・・・まだ考え出したばかりで浅いのですが、もっともっと掘り下げたいと思います。
(気になって買ったものの時間がなくて積読(つんどく)になってしまっている本たち・・・)
加えて、そんな科学的な知見も大切ですが、それとは逆に人間にはまだ理解しえない「見えない力」も大切だと思っています。
今の人間には感じられない多くのことを、動物や植物は絶対に感じ取っていると思うんです。野菜も生き物ですから、そんな外的要因が野菜の個性に影響する可能性は絶対あって、味という形で表れても何もおかしくないと思います。
畑で人間が作る環境はもちろん大事なのですが、その狭い範囲だけではどうにもできないもっと大きな力があると思うんです。
その野菜が生まれ故郷で何百万年も紡いできたDNAのどこかを刺激する複数の環境要因がたまたま組み合わさって、特別なものが出来るのだと思うと、ものすごいロマンを感じて一人興奮してしまいます笑
人間も昔はもっと感覚が研ぎ澄まされていたんだと思います。
面白い話でイヌイットは雪を示す100種類の名前を持ち、使い分けるそうです。つまり人間でも生きている環境で全く違う感受性を持つということだと思います。
今は脳化社会なので、なかなか自然界の生き物の感覚が遠い世界になってしまいますが、畑や山や海で自分の感覚を養いつつ、気候風土のことなどを勉強して自分の知的好奇心も追いかけつつ、多様な感覚と知識を持って農業を楽しんでいきたいと思います。
(こういう地形を見て、ぱっと多くの情報を感知できるようになれたらかっこいいですね!)
川崎亮太(かわさき りょうた)
HATAKEYA
三重県 いなべ市
1986年埼玉県生まれ。青年海外協力隊でエチオピアなどで暮らした経験や、環境問題への関心から、有機農業を始める。神奈川県の「NO-RA〜農楽〜」千葉康伸さんの元で3年間学んだ後、2018年3月、妻と共に「HATAKEYA」を開く。徹底的に学び、「有機だから」という言い訳なく胸を張れる野菜を作ることが目標。