2017.07.27
雨の福岡と鴨と
梅雨だというのに、6月20日までまともに雨の降らなかった福岡県ですが、6月末から7月上旬にかけて台風や大雨に見舞われました。今回、7月5日から6日にかけて集中豪雨があった東峰村、朝倉市は私の住む飯塚市から一つ山を越えた場所でした。私の町ではそこまでひどい雨も降らず、現在も何も変わらない日々を過ごしていますが、場所は違えども自然の力を前にして無力感を感じます。
それでも農家は自然と向き合って生きているので、SHARE THE LOVE for JAPANの挑戦者ブログやこのコラムを読んでくださっている皆様が、私たちの姿を通してより農家、農作物、農業に意識を持って頂けたら、それだけでも良いのかなと思います。
それでは、前回のコラム以降に行ってきたお米作りの作業をお伝えしたいと思います。
6月20日〜7月11日 田んぼの周りの電気柵張り
1年ぶりの電気柵張りです。ものすごく手際が悪くなってしまっていたことと、悪天候が続いていたので、電気柵を貼り終えるのに時間がかかりすぎました。イノシシ用だと、電線を2段張れば十分なのですが、合鴨を狙う天敵はヘビ、ネコ、イタチ、狐など体の小さいものもいるので、5段張りをし、下の方は電線の間隔を狭く調整します。
(電気柵の注意標識。合鴨や獣害対策用の電気柵は触っても痛いと感じる程度ですが、間違って触らないように標識を掛けておく必要があります。)
7月2日
電気柵を張る間にも田んぼの草をとっているのですが、ふと気付けばイネの分げつが始まっていて根元から新しい茎がたくさん生えてきていました。
この分げつがしっかり出来ていると根も張り、一株からとれるお米の量も増えます。直播きで一粒から発芽している株は分げつがよくわかりますが、普通田植えでは、4〜6本の苗を一株として植えるのと、株間が狭いため、分げつは退化してしまうそうです。
7月11日 合鴨の放鳥
電気柵張りに手こずってしまった事と、雨が続いていて合鴨を放すのに躊躇したこともあり、今年は遅めの放鳥となりました。研修先である古野農場に、11日にふ化したばかりのヒナを買いに行きました。
(生まれたばかりのヒナ。まだ羽が乾いてないかな?)
まだ広い田んぼに放すには心配なので、田んぼの隅に作った小屋の周りで泳ぎの練習をさせています。十分泳ぐ力はあるのですが、羽に油が足りなくて(鴨はお尻にある尾脂腺から出る油を体に塗り込むことで、羽が水を弾くようになります)、雨が降ったりして水に濡れすぎると体温が奪われて死んでしまうので、休むスペースもしっかり作っておきます。
7月12日
合鴨を放鳥して1日、大丈夫かなと様子を見に行くと、なんと…シマヘビが合鴨を狙っているところに遭遇!電気柵の電気を入れる以前から田んぼの中に居たのか、電気柵をかいくぐってきたのか分かりません。ヘビは見失ってしまったので、安全が確保出来るまで合鴨達は一旦引き上げる事に…。まだ依然としてヘビ捜索中。今年の田んぼも事件だらけです…。
八兒美恵子(やちごみえこ)
福岡県 飯塚市
1989年 福岡県生まれ。大学で環境生態学や土壌学を研究した経験と、食べることが好きなこともあり、食に関わる仕事の中でも、食の最前線で人の命を支える農業に魅力を感じ、農家になることを決意。2016年4月より新規就農。合鴨農法による米つくりと野菜の栽培の両立を掲げている。目指す農家像は、里山の整備や鶏小屋作り、パンを焼く石窯作りなどなど、暮らしにまつわる100通りの仕事が出来る人という意味での百姓。
