2017.12.25
施設園芸「ビニールハウス」Part 2
(11月初旬~下旬)
北海道豊浦町は、まだ11月なのに、早めの降雪により畑もすっかりホワイト一色となりました。畑でもできる仕事がなくなり、大急ぎで冬支度。農具の整備やビニールハウスの建て込み、メンテナンス作業に追われます。
さて、今回は前回に続き、中古ビニールハウスの導入にあたり、相場中古価格、建て込み期間についてお話ししたいと思います。
まず価格と所用日数について、私の近隣地域で自身が購入した物、新規就農仲間が購入した物などを参考で記しますと、
1棟(横幅5~7m×縦幅50m)の場合
1. 中古ビニールハウスの本体費用 無料~30万円
2.中古ビニールハウス購入先の畑での解体費
業者解体日数:1~2日(二人で重機無しの場合)
業者解体費:20~30万円
自分たちで解体するともちろん費用は無料です。ちなみに素人で初解体をした私の場合は、重機なしで金槌とドライバーのみで計3日かかりました。
3.購入先の畑より自分の畑までの運搬費
距離にもよりますが3万~5万円です。
自分で4tトラックのレンタカーや近隣の知り合いにトラックをお借りすれば、費用はまだまだ節約できます。
4.自分の畑での建て込み費用
業者建て込み日数(ビニール被覆含む):4~5日
業者建て込み費(被覆ビニール資材含む):30~40万円
初めて私が建てた時は、土地慣らし、土穴(ビニールハウスのパイプを差し込む穴)空けから完成まで7日かかりました。
5.ハウス被覆ビニールやハウス金具部品(新しく交換した方が良い部品や足りない部品)などの費用
天井ビニール・横カーテンビニール・裾ビニール・ツマ面(棟に直角な側面、出入り口になる部分)ビニール他備品含め、10万円用意しておけば、おつりが出るはずです。
以上5点が基本的に発生してくる費用と日数だと思います。
初めてビニールハウス(50m)の建物と敷地を見ると「え?この広さ、大きさの物を素人の自分で建てるの?」と最初は途方にくれますが、きちんとメジャーで寸法を取りながら組み立てて行くと、作り自体は意外に単純な構造で、高い部分は脚立(足場)を使い、工具もトンカチやドライバー、スパナなど基本的な工具しか必要のない作りになっています。
ですので、自分が就農する予定の地域や研修先で率先して組立・解体を手伝い、経験値を上げておく事が、自分の新規就農地での畑を含めたスムーズな立ち上げにつながるでしょう。
ちなみに私は…自分なりにしっかり計画を立てたつもりで望みましたが、天候に左右されたことなどもあり、「畑は耕さないといけない、肥料・堆肥を播き、畝作りもしなきゃならない、定植までに間に合わない~!まだハウスが完成してない、どうしよう…。」な状態でした。
これから農業を目指す皆さん、就農研修中の皆さん、少しでも全体スキルを上げて望みましょう。後は、近隣農家の先輩、仲間達を大切に。本当に困っているときは必ずアドバイスや助っ人として手伝いに来てくれます。
お互い頑張って行きましょう。
畑は真っ白けとなりましたが、来春雪解けまでの間、ハウス回りの雪掻きに始まり、ビニールハウスの完成、農具の手入れ、イチゴ梱包容器の発注、6次産業化イチゴ製品の開発…等々、果てしなく作業は続きます。今季はあれよあれよと時間に追われ、やりたい農アイデアの作業の半分もできませんでした…。
なので、来期の目標は「一歩一歩を丁寧に進む」です。
皆様、今年一年ありがとうございました。来年もご声援のほどを宜しくお願いいたします。
渡辺博之(わたなべひろゆき)
北海道 豊浦町
1968年 北海道生まれ。映像ディレクターとして活躍していた40歳の時、学生時代からの念願だった世界一周の旅に出る。そこで出会った、ペルーの芋農家さんの暮らしに衝撃を受け、農家になることを決意。帰郷後、地元でイチゴを新たな特産物にしようとする取り組みに共鳴し、有機でイチゴを栽培することを決意。誰にも継承せず引退を考えていたイチゴ農家さんと出会い、研修を受ける。その方の農場をそのまま引き継ぐ形で2016年に新規就農。
