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渡辺博之 北の大地のイチゴづくり

2017.12.06

施設園芸「ビニールハウス」

(10月中旬~下旬)
北海道の秋も深まり、そろそろ初雪が降る時期となります。
雪が積もる前にやって置かなければならない作業は山積みです。

その中でも北国でイチゴ栽培をする上で、必ず必要となるビニールハウス。
一通りイチゴ苗の整理も一段楽したところで、次はハウスメンテナンス、新設ハウス建て込みなどハウス関連のお仕事が、自分の圃場を含め近隣の農業仲間でも増え、ヘルプなどの声が掛かることも、この季節は多くなってきます。

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(ハウス建て込みの様子)

そこで今回は、私も農業者になる前に思っていた素朴な疑問。
「ビニールハウスってどこで購入するの?費用は幾らくらいするものなの?」
「自分で建てられるものなの?」
「あんな大きな建物、どれくらいの期間があれば建てられる?」
…等々について、あくまでも私の経験と新規就農者目線での数字ですが、お話ししたいと思います。

まず、農業研修中に「施設園芸、ハウス栽培をしよう!」と計画し、「営農と同時にハウス購入!」では遅いです。
貯蓄、資金に余裕のある方なら良いですが、新規就農時にはしっかり営農計画を立てていても、それ以外に何かと細かいお金(数千円、数万円単位)で飛んで行きます。塵も積もれば山となります。
「今後の為にも、初期投資をできるだけ節約したい!」と思うなら、まずは大物の、数百万とかかる「ビニールハウス」、これをいかに程度のよい中古ビニールハウスを探し獲得出来るかが、後々の資金運営を考えて行く意味でも、とても大事な事だと思います。探す時期も農業研修に入ってすぐに。研修先の親方の知人、地域での知り合い農業者、とにかく早めに声をかけておく事が大事です。
高齢での離農者の中古ハウス、農業法人の経営方針転換時などのハウス棟数見直しなど、一年に数棟、多ければ数十棟、必ず中古ハウスが出てくるはずです。

そして、出物が出た時、「なんか、どこぞの地域でこれから新規就農したいって頑張っている研修生が、ハウス探しているみたいよ!?」と言う噂が流れていれば、声も掛かりやすいです。とにかくアクションを起こしていないと、良い条件の中古の出物が出たら、地元農家間であっと言う間に右から左へ流れてしまいます。その隙間を縫って掘り出し物を獲得するには、早め早めのアンテナ張りと、情報を広げておくことが大事な事だと思います。

研修終了時期が迫ってきて、ハウスの建て込みをしなくてはならない時期になっても出物情報がないと、さすがに焦ってきますが、吉報!良い出物ニュースがありましたら、即行動!品定めに行きましょう。
中には、噂と違い痛み(錆等)が激しい物、自分が予定していたサイズとだいぶ異なる、程度は良くても売り手がお金に困っていて法外な値段を言ってくる物など、色々なケースがあると思います。そんな中でも、良い条件の物がいくつか見つかったら、今後の営農計画にのっとった数であれば数棟でもストック分として購入しておくのも良いでしょう。数棟セットだと、その分、ハウスのバラシ代、運搬賃、建て込み費用などもお得になってきます。

これらの事が、これから農業を考えている方、新規就農研修に入っている方へ、少しでも気持ち作りの一つとなればと思います。
何度もしつこいようですが、新品と中古ハウスでは形は一緒でも数百万円と費用が変わってきます。ですので、早めに探して出物を見つけ、余裕を持って営農計画を実行される事を願います。

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次回は、今回の続きとして、女性・初心者の方にも安心なビニールハウス組立、組立期間、購入費などの現実的なお話ができればと思っております。

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渡辺博之

渡辺博之(わたなべひろゆき)
北海道 豊浦町

1968年 北海道生まれ。映像ディレクターとして活躍していた40歳の時、学生時代からの念願だった世界一周の旅に出る。そこで出会った、ペルーの芋農家さんの暮らしに衝撃を受け、農家になることを決意。帰郷後、地元でイチゴを新たな特産物にしようとする取り組みに共鳴し、有機でイチゴを栽培することを決意。誰にも継承せず引退を考えていたイチゴ農家さんと出会い、研修を受ける。その方の農場をそのまま引き継ぐ形で2016年に新規就農。

写真家の眼 渡辺博之

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