2017.04.30
北の大地にて、イチゴ栽培再スタート
1年の3分の1は一面の雪に覆われる北海道豊浦町にて、昨年2016年よりイチゴ農家として営農しました、渡辺博之と申します。
昨年、このSHARE THE LOVE for Japanを通し、新天地での農業生活を「挑戦者の今」ブログにて書かせて頂きました。
今年は、無農薬イチゴ栽培の奮闘、新たな栽培法への挑戦など、主に技術面をこの「参加農家のコラム」に書いていきたいと思っております。
まず、数ある栽培方法の中で「最も困難」と言われる無農薬、無化学肥料でのイチゴの有機栽培を始めたきっかけですが、3年前に話は遡ります。
当時は、隣街で農業研修を受けており、週に何日も農薬・化学肥料を散布する日々。私は体調を壊してしまいました。
当時イチゴ栽培の事を何も分からなかった私は、指導者の指示により、農薬散布も使用限度を上回る回数行っていました。指導者からは「とにかくイチゴの見た目が良く、甘ければいい!」と常日頃言われ、私自身、「イチゴを美味しくする為には、こんなに農薬や化学肥料が必要なんだ…。」と研修中困惑していたものです。
そうして隣街で2年の研修期間を過ごし、ようやく現在の豊浦町で営農場所が見つかり、そこで40年イチゴ作りをしている現在の師匠に出会いました。
師匠の所で収穫したイチゴも色艶も良く、甘くて美味い!
食べた後で、「うちは農薬をほとんど使わないよ」という言葉にかなりの衝撃をうけ、「ここで、このイチゴ作りを教わりたい」、素直にそう思った事を今でも覚えています。
実際、その師匠の下に1年間弟子入りさせてもらい、その年は一切農薬を使わず、害虫の被害もなく、美味しいイチゴができました。しかも、イチゴが強い!普通、農薬や化学肥料を使って作ったイチゴは暖かくなると傷みやすく日持ちがしませんが、師匠の所でできたイチゴは赤く色づき熟しても全然傷んでこない。イチゴ自体の生命力が強いのです。
今思えば、隣街での研修時代は、高設栽培と言われる栽培方法で人工培地を使用してスタート。そこにどんどん化学肥料のみを加えるため、生物性は無く、土の中の栄養バランスが少しでも崩れると、ハエや様々な害虫やカビが発生しました。それを防ぐ為に農薬を頻繁に使い、本来イチゴに必要な良い菌類や益虫も殺してしまい、そこにまた化学肥料を投入…。ムダに資材費ばかりかかり、とても悪循環な状況だったのだと思います。
(人口培地を使った高設栽培)
(畑の土をそのまま畝上げをして栽培する、土耕栽培)
有機栽培のイチゴは、アレルギー症状やアトピー、化学物質過敏症の子供を持つ親や、妊娠中の母親達にも、「安全安心、身体にも優しい、それでいて美味しい」と大人気です。
そんなみなさんに喜んでもらう為にも、有機栽培のイチゴを長く収穫し、安定した収量を目指したい。そのためには、長い期間を要する育土、強いイチゴに育てる為の工夫と技術、悪天候や病害虫にも左右されにくい様々な栽培方法が必要とされます。
次回からは、私が学んだ様々な育土方法やイチゴ栽培方法を取り入れ実践してきたことについて、
経過観察、実践結果、失敗談や反省点などを、コラムとして詳しくお話ししていけたらと思っています。改めて宜しくお願いいたします。
渡辺博之(わたなべひろゆき)
北海道 豊浦町
1968年 北海道生まれ。映像ディレクターとして活躍していた40歳の時、学生時代からの念願だった世界一周の旅に出る。そこで出会った、ペルーの芋農家さんの暮らしに衝撃を受け、農家になることを決意。帰郷後、地元でイチゴを新たな特産物にしようとする取り組みに共鳴し、有機でイチゴを栽培することを決意。誰にも継承せず引退を考えていたイチゴ農家さんと出会い、研修を受ける。その方の農場をそのまま引き継ぐ形で2016年に新規就農。
