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天野圭介 お山の中のフォレストガーデン

2017.12.25

まだまだ続く、フォレストガーデン作り

 冬至も近づき、一年で一番静かなこの時期。我が家には常に隙間風が吹き込み、家の中も夫婦間の関係も風通し良好です。この遠州地方は、冬になると「遠州のからっ風」と言われる乾燥した強風が吹きます。他県から来る人にとっては驚くほどの強風で、おかげでものがよく乾きます。
 
 12月の我が家の仕事は、何といっても保存食づくり。静かな冬の間に、せっせと春の端境期(はざかいき:収穫物がない時期)をしのぐための保存食を作ります。作りますと言っても、作ってくれるのは妻ですが(笑)干し柿に白菜漬け、生姜の佃煮。我が家に新たな仲間である、長野生まれの薪ストーブ、大梅ちゃんが加わり、今オーブン料理にはまっています。さつまいもも傷まないうちにオーブンで焼き芋にして食べています。生姜は薄くスライスして、オーブンの中で乾燥させるのにも挑戦中。干し芋もつくりたいなー

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(風が吹く日が多く、干し柿も順調に乾きます。)

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(白菜の塩漬け。材料は、りんご、みかんの皮、ニンニクすりおろし、昆布、ゆずと上質な塩)


さて、フォレストガーデンのコラムもいよいよ今回で最終回!早いものですね~。今まで読んでくださった方々、本当にどうもありがとうございました。4月から始まったフォレストガーデンづくりですが、何といってもまだまだ始まったばかりです(笑)今年の春には素敵な畑を作りたいと思っており、フォレストガーデンに一年草が多く仲間入りする予定です。今年は本当にインフラ作りに力を入れていた為、フォレストガーデンを植物で例えれば、発芽して根を伸ばし始めた時期です。それでも生活も少しづつ落ち着いてきており、着実に森が生まれる土壌は育ってきているなと感じています。

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(今は雑然としていますが笑、来春にはここに綺麗な畑が広がる予定です。)

今後のフォレストガーデンの展望ですが、この冬に納屋をセルフビルドしようと計画しており、フォレストガーデンで育つ野菜や果物を保存できる環境をつくります。また、これは計画中ですが、来年3月からは我が家でフォレストガーデンデザインコースを開催する予定です。フォレストガーデンについての知識は勿論、パーマカルチャーや大地の再生、セルフビルド、木こり、畑に田んぼ、動物の世話など、暮らしに必要な生きる力を共に学ぶためのコースです。暮らしていく力を身につけながら、大地に根差して暮らしていく為の生業づくり、仲間づくりにもつなげていければいいなと思っています。ようは、現代版の百姓塾です。来年からはより多くの人が我が家に関わってくれることで、フォレストガーデンづくりにもスピード感が生まれてくると思います。それだけの基礎は、今年の一年でなんとかできたかな~と感じています。

 さて、来年はどんな年になるのでしょうか?我が家では、地域社会や仲間でつくるエネルギーや食、経済などの「自給圏」をさらに広げていきたいと思っています。この先社会はますます不安定になってくると思います。大量の石油資源の消費に依存している社会は脆弱で、ともすると簡単に仕組みが崩壊し、我々の暮らしも一転、窮地に追いやられます。それは一極集中の仕組みに依存しているからであり、その時お金は何の役にも立ちません。私たちが生きていく為の空気や水、土、種、といった自然環境をいかに健全に保っていくか。そして、自然の声によく耳を傾け、その反応を理解し、共存共栄の為の暮らしの知恵と技術を身に着けていくか。我々は今、手にした技術と便利な暮らしの代償にしっかりと目を向け、これからの暮らし方を創造していく時期にはいっています。その代償がなんだったのか、自然環境は常に無言で教えてくれています。フォレストガーデンが、人が人らしく、健やかに、幸せに、いつまでも楽しく暮らしていける、そんな暮らしや社会づくりにつながっていけばと思っています。

 

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(ここに畑と動物、人が集まる野外キッチンを作ります。夜は焚き火、露天風呂に入りながら星を眺められるような場所にしたいなー。)


今までコラムを読んで頂きまして、どうもありがとうございました。まだまだ挑戦は続きますので、というか生涯やってますので、静岡にお越しの際はどうぞお気軽にお立ち寄りくださいませ。本当にどうもありがとうございました!

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天野圭介

天野圭介(あまのけいすけ)
静岡県 浜松市

1985年神奈川県生まれ。2歳の時に父が脱サラし、静岡県の山奥でペンション経営を開始。そこでの自然と一体となった暮らしを原点に、アフリカ諸国を旅した後、オーストラリアでパーマカルチャーを学ぶ。帰国後、2014年、郷里に近い浜松市にて就農、農園『ONE TREE』を始める。米や大豆をメインに栽培。2015年には、世代を超えた有機農家の連携を図るために「ラブファーマーズカンファレンス」も開催した。

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