2017.08.30
森のモデルを見に行きました
今年はやけに夕立が多いですね~。昨年は2回くらいしか降らなかったように感じた夕立が、最近は毎日のように降っています。曇りや雨の日が多い今日この頃。お米の生育が心配になります。無事育ってくれればいいけどな~。
さて、8月の我が家はというと、田んぼの草取りや畑の草刈りに追われる毎日でした。とった~!と思っても、1週間すると緑に戻ります。とにかくこの時期の草は成長が早い!何故除草剤がここまで普及したのか?理由は十分なほどに分かります。この時期は我慢の連続。あれもこれもやりたいけど、暑いしちょっとずつしか進みません。焦らず、ぼちぼちやるしかないのでしょう。
前回は、フォレストガーデンとは7つの畑を重ねてできている、と説明させてもらいました。今回は、僕の住む春野町の隣町である、森町というところに森のモデルを見に行ったことについて書きたいと思います。僕は、森を歩いて眺めているときに、いろいろなヒントをもらうことが多いです。悩んだらなるべく健全な森を歩いてヒントをもらうようにしています。かの有名なオランダ人画家ファン・ゴッホも、頻繁に森に出かけていたようです。彼は森に向かう途中、「あなたは何をしに森に行くのですか?」と聞かれると、「森にモチーフを得に行くのさ」とこたえたそうな。森には実にたくさんのヒントとモデルが存在します。
(目通りで、周囲3mはあろう山桜。圧巻です。)
今回訪れた森は、広葉樹(カシ、シデ、シイなど)と針葉樹(スギ、ヒノキ、モミなど)が入り混じって共生する混交林。江戸中期からこの地に移り住み、代々、椎茸栽培を行ってきた木こりさんに案内してもらい、森の中へ。そこは、大きな広葉樹の大木が立ち並ぶ、幻想的な世界。カシやシイ、ヤマザクラ、イタヤカエデといった天然木に交じり、シイタケ栽培に使われてきたシデやコナラ、さらには自然生えしたスギやヒノキが凛々しい姿で立ち並んでいます。
(「こんなおデブな木があってもいいだろう」クセも曲がりも生かしてなんぼ。)
しかし林内はほんのり明るく、大木の下にはたくさんの幼木や日陰に強い植物が生えています。広葉樹の森にしか生えないという珍しい植物、ツチアケビも発見。実は一回り小さいアケビのようですが、色は真っ赤!緑色の林内に一際目立つその姿は、何か宝物を見つけたようなドキドキ感を与えてくれます。さらにさらに、林内の至る所にきのこ、きのこ!真っ赤なものからいかにもおいしそうなにおいのするもの、あからさまに毒のありそうなもの、ぬるぬるするものまで、本当にたくさんのきのこが生えています。秋になるとそれはそれは、たくさんのきのこが生えるようです。なんとも贅沢。
(森の中で夢中になる大人たち。)
今回案内してもらって一番心に残ったこと。それは、この豊かな環境は人間が森に手を入れないと実現しない、ということです。「オラぁ、いろんな森を見てきたよ。スギやヒノキを皆っきし切って、自然とナラ(コナラ、カシなど)の生えてくる森。スギもナラも生えてる森で、ナラだけ間引いて育てた森。スギやヒノキを間引いて育てたナラの森。ナラを植えて育てた森。み~んな育ち方が違って、み~んなそれぞれにいい森だ。落ち葉が落ちて土になり、それを分解してきのこができる。獣もいれば、人もいる。きれいな花も蜜もある。家具や建物に使える材料や薪だってある。豊かな森にはな~んでも揃ってるんだ。でもこれは、人が手を入れねぇとできねぇんだ。人は昔からこうやって森と付き合ってきたんだよ。」
この話を聞いて、フォレストガーデンのヒントをたくさんもらいました。その場その場で自然の森が成長する速度も、内容も違う。それと人の暮らしのニーズを合わせて、初めてフォレストガーデンは育っていく。今回の学びを胸に、我が家のフォレストガーデンもじっくり育てていきたいです。
(樫の巨木が立ち並ぶ。林内は明るく、空気が澄んでいる。)
天野圭介(あまのけいすけ)
静岡県 浜松市
1985年神奈川県生まれ。2歳の時に父が脱サラし、静岡県の山奥でペンション経営を開始。そこでの自然と一体となった暮らしを原点に、アフリカ諸国を旅した後、オーストラリアでパーマカルチャーを学ぶ。帰国後、2014年、郷里に近い浜松市にて就農、農園『ONE TREE』を始める。米や大豆をメインに栽培。2015年には、世代を超えた有機農家の連携を図るために「ラブファーマーズカンファレンス」も開催した。
