2020.02.11
|2018挑戦者研修|先駆者 福留ケイ子さんに学ぶ 有機農業に挑み続ける精神とは
2019年11月22日(火)〜23日(水)、果樹栽培をしている2018年挑戦者の4名が、鹿児島県 の徳之島で30年以上有機農業を営む先駆者・福留ケイ子さんの元へ研修に行ってきました。
福留さんは、鹿児島県の徳之島で、初の有機JAS認定農家であり、島の農業女性部初代部長も務め、女手ひとつで稼げる農業の成功モデルを作り出した第一人者であると言われています。
離島という土地柄と、一年中雑草が伸び土分解が早く肥えた土作りが難しい亜熱帯性気候の気候柄、有機農業には向かないと言われてきた悪条件の中から福留さんが産み出したのは、島だからこそ出来る六次化産業でした。困難を乗り越え、独自性を生み出し、育て上げた作物をどう活かすのか。逆境の中でも農業に向き合い続けてきた福留さんの精神を学ぶべく、徳之島を訪れた参加者たちのレポートをご覧ください。
|開催概要|
日程:2019年11月19日(火)20日(水)
講師:先駆者 「福留果樹園」福留ケイ子さん
場所:鹿児島県 伊仙町
内容:福留果樹園さんの圃場の視察(ニンニク / パパイヤ / コーヒーなど)
福留果樹園さんの加工場の視察
地元農家さんの圃場(アボカド / パッションフルーツなど)・出荷場の視察
地元農家・市長との交流 など
|参加者のレポート|
● 橋本純子さん|香川県三豊市
「徳之島」という離島で、
「健康に良いものを作る」というキーワードで果樹や野菜を栽培し、
またそれらを使った加工品を作る福留さん。
「いつでも前を向いて歩かなあかんよ〜。
俯いたら谷底よ〜。学ぶことを忘れたらだめよ〜」
笑顔だけど重みのある言葉の数々。
「島は加工品を作るにも、包装資材を送ってもらうにもお金が余計にかかるでしょう?
だからこそ良いもの、美味しいものを作りたいの」
と笑顔で話す福留さんの言葉に強い想いを感じました。
今回、私が福留さんからお伺いしたかったのは、加工品を作り出す時のプロセス。
アイデアが降ってくるのか、悩んで悩んで生み出すのか。
結果は、後者。
頂いたヒントは、
「加工品を作るには、舌を磨くのよ。
確かな舌を持つことね。
それから料理することが好きでなければ加工は出来ないわね。
何度も試作をすること。
眠れない夜は加工品のことを考えるか本を読むの。
本は良いわよ。ずっと学べるもの。」
というものでした。
老眼で読書からちょいと離れつつある私には少し耳の痛いお言葉でした(^◇^;)
あと、人を雇う時はどう選ぶのかもお伺いしました。
「まず地元の人ね。
そしてその中でも本当に生活が苦しい方を優先して雇うわね。
そうしたら一生懸命働いてくれるの。
人には得手不得手があるでしょう。
その人が出来ることをやってもらうのよ。
お給料はこの辺りでは高い方。
やりがいを持ってもらえるからね。」
「加工は覚えてもらうのに5年はかかる。
雇用は人助けという考えは常に頭にあるけど、
しっかり働いてもらうことで逆に助けてもらうこともあるのよ」
お給料とか仕事内容だけでなく、福留さんとお仕事出来るからこそ、
皆さん一生懸命働いてらっしゃるのかなぁと思いました。
私もいつか誰かに「一緒に仕事させてもらって良かった!」って
思ってもらえるくらいの人間性と技術や知識を持たないとダメだなぁと思いました。
福留さんの紹介で交流させていただいた島の農家さんからもたくさんの刺激をいただきました。
かばた農園の樺田さんからは、
「めげても何もならない!
台風で被害を受けることの多い徳之島ではいちいちめげてたら農業出来んわ!」
という気概を。
青年農業士であり農業委員の義山さんからは、
「農業は楽しむべき!」と言う姿勢。
作業場を「どこかのARTカフェ?」と思うくらい個性的で楽しい場所にされてて、
また効率良く作業する為の道具も自作されてて参考になりました。
私も会社の倉庫をARTにしちゃおうかな?と真剣に考えてます(^◇^;)
他にも農家さんはじめたくさんの地元の方をご紹介いただき、
交流させていただき徳之島の魅力を堪能させていただきました。
お忙しい中、快く迎えてくださった福留さん、本当にありがとうございました!
教えていただいたカシャにぎり(バナナの葉っぱで巻くおにぎり)、
納豆、青パパイヤの料理、既に家で作ってみました!
またお会い出来る日を楽しみにしております。
それから最後になりましたが、
徳之島へ研修に行かせていただき、STL事務局の皆様には感謝でいっぱいです。
今回の研修では農業知識を教えていただいただけでなく、
「農家である自分がどうあるべきか」も改めて考えさせていただく良い機会になりました。
今回いただいた刺激を糧に真摯に農業に改めて取り組んでいきたいと思います!
本当にわがままを聞いて下さって感謝感謝です!ありがとうございました!
● 湯浅純さん|山梨県南アルプス市
■学びたかったこと
・島ならではの栽培方法
・加工食品製造の工夫
・販路の拡大
■学んだこと
・栽培の工夫
台風被害を防ぐために、森の中に植えたり、サトウキビや強い果樹を密植にして、防風をする。
対策はするが、被害がでても、めげない、諦めない。
工夫そのものより、めげないマインドが印象に残りました。
最初から被害はあるものとして半分あきらめ、
それでも生きてきた島ならではのマインドでしょうか。
新規就農者としてはその境地まで至りませんが、
できるだけ身につけたいと思います。
・加工品にキーワード(コンセプト)をもたせる
島の素材で作れるものを作ったこともあったが、
これからは「健康にいいもの」に絞って作っていく。
その方がお客さんの層が絞れて、方向性を打ち出しやすい。
当園でも「オリーブオイルに合う食材」というコンセプトでやろうとしていますが、
裏付けができて安心しました。
新規就農なので、「やれること」、をやりたくなることがありますが
それこそ新規では勝てないので、コンセプトを大事にして、
お客さんを絞って行きたいと思います。
・加工品をするには料理が好きで、味覚が優れていること
福留さん宅で手作りの夕食を頂きながらのお言葉だったので、説得力大でした。
他人のために美味しいものを作る、という点で、
福留さんの中では料理と加工品は同列にあると感じました。
私自身は最近は料理をしていなくて、妻にお願いしていましたが、
冬の間はすこしやろうかと思います。
また食に対する投資は惜しまないようにします。
■自主研修
延泊して下記を訪問しました。
・宮出珈琲園
偶然の紹介で、徳之島で無農薬、無肥料で珈琲栽培をしている宮出さんを訪問しました。
台風被害を避けるために森の中の畑で、あえて日陰にするというユニークな栽培方法。
焙煎して自分で販売するだけでなく、後進に指導したり、長野での販売支援をしたり
幅広い活動をする方で、栽培品目は違いますが、当園のモデルになるような方でした。
・鹿児島オリーブ
鹿児島県日置市で官民連携で設立されたオリーブオイル製造会社。
市が農家のオリーブ栽培を支援し、会社が買い取ってオイルを絞り販売する、
小豆島システムを構築し設立5年目。
担当者の安田さんに搾油機のノウハウを詳細に教えていただきました。
ご苦労されている分、機器の規格の話など、詳細なお話が聞けました。
● 上林由香さん|京都府京都市
今回の研修に参加する事に最初はどうしようか悩みがありました。
自分が今、改めて農地を探している中途半端な時期だったからです。
でも、そんな時だからこそ学ぶ事や感じられる事があるかもと思い参加しました。
加工品を作る事は、
「食材を無駄にしない」「通年商品がある」という面から必要性を感じていたので、
どの様に加工品をつくる事を始められたのか、資金のことなど、
スタートされた時のお話を聞きたいと思っていました。
畑や加工場を見学したり、徳之島の農家さんの畑やハウスを訪問、
夕食を一緒にするなかで、人と人をつなげる大切さ、
外に出て知識を得たり学べる方と積極的に付き合うこと、
本を読んだり世の中で何が健康につながるものかアンテナをたてることなど
発見と気づきがありました。
私的には、ご家族の介護など環境が変わっても続けていく精神力、
「初めは普通のねーちゃんだったのよ、
冷凍庫も家庭用の小さな物からスタートしたよ」
と笑って話されたことも心に残り、これからのやる気や勇気をもらいました。
いちばん「これ取り入れたい!」と思ったことは、
訪問先の農家さんのお洒落で楽しいポップに作られた倉庫です。
機能的に手作りされた作業台をペイントされてるのをはじめ、
カラオケあり、プロジェクターあり、床にジンベイザメやウミガメが描かれ、
天井にはサーフボードにスノーボートがぶら下がっている!
目から鱗の素敵な出会いでした。
この様な機会を与えて頂き、関係者の皆さま本当にありがとうございました。
お元気でパワフルなケイ子さんと参加者の皆さま。
私の元気がついていかず、体力をつけねば!と反省の2日間でした。
● 佐藤辰彦さん|福島県福島市
|自分自身の現状の課題
本年、親から経営上独立(現状の品目 養蜂・トマト)
→今後、さらなる収益源を作っていくか検討中。
考えうる方向性 ・既存品目の加工
・既存品目の規模拡大
・新たな品目を増やす
→どのようなスピード感で拡大するのか等が要検討事項
このような視点で研修・視察に参加した。
研修・視察に参加した結果、感じたのは以下の通り。
|新たな品目を増やすという観点での研修・視察結果
熱帯果樹(アボガド等)
→将来的には、福島でも栽培可能かもしれないが、
現状冬の寒さが厳しいので、すぐには収益源にはなりえないが、
今後温暖化が進むと思われるので実験的に始めるには面白い。
|どのようなスピード感で拡大するかという観点
福留さんは、毎年の一定の投資金額の元で、無理せず拡大してきたとのこと。
→これについては研修後も悩んでいる。徐々にいくのかor一気に拡大するのか?
金融機関等からも現状、無理をせずに営業品目を絞って投資するようにはすすめられている。
市場の動向等も見極めながら判断していきたい。
|研修を通じて印象に残った福留さんの言葉
賃金はやや高めで雇っている
本物を食べる・磨く
環境に合ったものを作る
健康にいいものを作る
→経営は答えのない世界で、置かれている状況が異なれば、
取らなければならない施策はことなるが、
理念は大事、方向性を間違えず自分も経営していきたい。
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