SHARE THE LOVE

2019.12.13

|STL四国組|第2回 有機農業勉強会in高知「土づくり・育土と微生物の農業利用」

SHARE THE LOVE for JAPAN(以下STL)では、地域やテーマごとに参加農家さんが集まり、農業技術などについて学び合う勉強会が開催されています。

今年1月に、四国で農業を営むSTLメンバーが長野から石綿薫さんを講師に招き、第1回勉強会が開催されました。(レポートはこちら「|STL四国組|有機農業勉強会in上勝「作物を健全に育てる土づくり・育土技術と病虫害対策」」

石綿さんの講義を継続して学び続け理解を深めること、新たな学びの仲間を増やすことを目的に、第2回目となる四国勉強会が10月7・8日に高知県で開催されました。勉強会の詳しい内容は、こちらからご覧いただくことができます。
「革新者 石綿薫に学ぶ 農法の枠を超える学びを伝える」
[土編]畑の特徴、品種、作型選び、育苗、栽培管理。それがひとつなぎになったものを農法という。
[光編]光、温度、水や風の順番で、人為的に制御できない環境をいかに整えるかが栽培における優先ポイントになる。(12月中旬公開予定)

参加者が語る感想は以下のレポートをご覧ください。

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|開催概要|

日 程:令和元年10月7日(月)8日(火)
内 容:座学「土づくり・育土と微生物の農業利用」
    「自然農園よりこんぼ」の圃場視察
講 師:Happy Village Farm 石綿 薫さん(長野県松本市)
場 所:高知県中土佐町・北川美帆さんの圃
参加者:30名ほど(STLメンバー 北川美帆さん、阿部正臣さん、大島雄さん、藤原直樹さん、村田謙虚さん、高知県内外から参加した農家・新規就農予定の方など)

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|参加者のレポート|

北川美帆さん|高知県中土佐町

石綿薫先生をお招きし第2回四国勉強会を開催致しました。
有機のがっこう土佐自然塾時代から繰り返し受けてきた石綿先生の講義。
私にとって石綿先生の講義は、就農5年目となった今も、当てるべき視点を修正し、
向けるべき思考に立ち戻ることができる貴重な機会となっています。
「向けるべきはそこじゃないよ、もっともっと大きく見るんだよ」と。

経験が浅く自然を捉える目も養っていない私は、
目の前の野菜を見てついつい小手先の手法をばかり探ってしまいます。
目に見える部分に焦点を当て、落胆したりうわべの解決策を探ってみたり。
「1+1=2らしい。ならば明日からそれでいこう!」とか、
「葉色が薄い野菜を見れば、すぐに何が足りてない?」
という部分的な思考になってしまうのです。

私は石綿先生が教えて下さっているのは、
具体的で専門的な自然の見方、捉え方だと思っています。
石綿先生の視点を学ぶと、小手先のことではなく、
目に見えない自然の仕組みをもっと広く総合的に複合的に観察し
理解しなければならないことに気付かされます。
そしてその理解があれば、小手先のノウハウに左右されず、
根拠と自信を持って自分の畑に向き合い、
何をするべきか野菜目線で判断していくことができると感じます。

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今回の勉強会は、基礎となる植物生理に加えて微生物について。
自然の中でこんなことが起きているのかという驚きと、
まだまだ学ぶべきたくさんのこととの出会いでした。

私にとって毎回石綿先生の講義内容はとても難しい。
難しいというよりも、経験不足から自分の畑とはまだリンクできず、
処理しきれない膨大な情報量と言った方が正確かもしれません。
「一度聞いたからわかった」とは決してならないんです。
畑の経験を積みながら、繰り返し学び続けることで理解が少しづつ開けていく。
腑に落ちることが増えていくのです。
目に見えない自然の仕組み一つ一つをもとに畑に目を向け経験を積むことで
一生をかけて自分農法を見出して行くものなのだと感じています。

石綿先生の講義を受ければ受けるほど、
野菜を取り巻くバックグラウンドの広さに心踊り、
しかし同時にとんでもない世界にはいってしまったと、
恐れおののいてしまうこともしばしばです。

石綿先生は野菜の話し、土の話し、微生物の話し、つまりは自然の話しをするとき
いつも目がキラキラしていて踊るように楽しそうなんです。
楽しくてたまらないといった感じ!
講義を聞いていても、まるで
「土の中ではこんなスゴイことがおこっているんだよ!すごいでしょう!」
って言っているよう。
農業をいかにクリエイティブに楽しめるか、
私は石綿先生の農業への向き合い方、自然の捉え方をみて学んでいます。
私も自然を大きく見てその楽しさを味わう日が待ち遠しいです。
そのためには、畑の経験を積み、学び続けること。

今後も農業に取り組む仲間とともに学び続ける場として、
この四国勉強会は継続していきたいと思います。

第1回目の勉強会開催当初から、
多大なご支援をくださっているトゥルースピリットタバコカンパニーの皆さまに、
このような学びの場をサポートして頂き心から感謝申し上げます。

頑張るぞー!!

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大島雄さん|愛媛県宇和島市

今回で2回目となった石綿さんを迎えた四国勉強会。
今回のテーマは「土づくり・育土と微生物の農業利用」ということでしたが、
前半部分は前回と同じ流れで土づくり・育土の部分に焦点が当てられました。
やはりこの「育土」という、石綿さんが使う言葉が、全てだなと、改めて感じました。

相変わらず畑では病虫害に悩まされることが多く、
「適作適地を心がけた作付け計画をして、土づくりのための有機物を投入して、
土壌分析に基づいた施肥設計をして、でもうまくいかない畑がある…」
畑のある瞬間を断面的にみるのではなくて、
栽培する前、栽培中、栽培後も常に土中ではライブで微生物たちは活動しており、
土壌は常に変化しているということ。
その結果現在土壌がどうなっているのか、特性はどうか、
色々な要因があることを石綿さんの講義では教えてくれます。

やはり時間をおいて改めてお話を聞くことで、違った視点でとらえられたり、
新たな気づきがあったり、回を重ねるたびに深まっていくなと感じました。

今回は、高知県中土佐町の北川さんの圃場を視察させてもらいましたが、
試行錯誤しながら、石綿さんの指導を真摯にとらえ、
着実にレベルアップしているなと感じ、大きな刺激を受けました。
私の圃場も視察されても恥ずかしくないよう、
また一年頑張ろうと志新たに帰途に就いたのでした。

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阿部正臣さん|徳島県上勝町

四国組において2回目の開催となった石綿さん研修。
前回に引き続き、土づくり(育土)・微生物をテーマに勉強会を行った。
これは有機農業において最も大事なことであるが、
それは目に見えにくい部分であり、現場では概ねイメージや感覚で捉えている。
その現場で感じていることを理論化して説明してくれるのが石綿さんだ。
「なるほど。そういうことか。試してみよう。」
こういった“気づき”がどんどん出てくる。
また技術的なことだけではなく、モチベーションの向上にもつながる。
今回もそんな研修だった。あとは現場で実践あるのみ。
そしてまたイメージで捉えておいて…石綿さん。だ。

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藤原直樹さん|鳥取県伯耆町
講師が石綿薫さんと聞いて、鳥取からはるばる参加させていただきました。

研究者であり農家にもなられた石綿さんのお話は、
土の中のミクロの世界から作物や雑草など眼に見える状況のことまで、
内容が広くて多くて詳細です。
1日目が6時間半、2日目が2時間の講義。
なるほどそうなのかー、と思いながら聞いていても、
次々と話が続くので、情報を処理できずにどんどん忘れていきます(笑)。
だから何度も聞きたくなります。

お話を聞いた後に思うのは、とにかく畑や作物と向き合い、
それぞれの畑とそれぞれの作物に合う環境をそれぞれに作ることが大事なんだ、
ということです。

そのためには、畑の自然環境を理解し、作物の特性を知ることが必要です。
データを採ったり、お勉強もしなければなりません。
ワンパターンにこうすれば良い、という方法は、特に有機農業には無いんですね。
地道に頑張ろうと思います。

最後に、今回の四国勉強会を主催し、施設や昼夜朝の食事など、
至れり尽くせりのホストぶりを発揮してくれた北川さん夫婦に、
最大限のお礼を申し上げます。

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