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2019.11.18

|第2回 STL米部会|「除草」「藻」「理想の田んぼ」第1回勉強会の学びを導入した奈良の田んぼで開催

SHARE THE LOVE for JAPAN(以下STL)では、地域やテーマごとに参加農家さんが集まり、農業技術などについて学び合う勉強会が開催されています。

今年2月に、米作りを行うSTLメンバーが集い、第1回勉強会が開催されました。その様子は、「革新者 村田光貴に学ぶ『代掻きは除草。草に負けない米作り。』」 でご覧いただくことができます。この勉強会で村田さんからおおいに学びを得たメンバーのお1人である東樋口さんが「学びを活かした自分の田んぼを是非見に来てほしい」と呼びかけ、稲穂が実る9月に奈良にて第2回目のお米勉強会が開催されました。

詳しい内容は参加者のレポートをご覧ください。

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|開催概要|

日 程:令和元年9月12日(木)
内 容:13:30~18:00 
    座学「肥料も農薬も使わない自然栽培とは / 理想の田んぼ / 圃場の管理 /
    植え付け / 除草」・東樋口さんの田んぼ視察
講 師:農未来 NOU FUTURE 村田謙虚さん(大分県国東市)
場 所:奈良県平群町・東樋口正邦さんの田んぼ

参加者:11名ほど(STLメンバー 東樋口正邦さん、八兒美恵子さん、田中真由美さん、杉浦秀幸さん、大野收一郎さん、阪本孝司さん、近隣から新規就農予定者の方など)

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|参加者のレポート|

東樋口正邦さん|奈良県平群町

村田さんの圃場での研修会を経て、学んだ事、応用出来るテクニック等をどんどん導入した結果を村田さんと意見交換し、さらなる改善点を探るため、今回の勉強会をうちの圃場で実施させて頂きました。

学んだ事
1.藻はバロメータ
村田さんは各田んぼで、藻を見ていました。「あ、サヤミドロあるじゃん!」と水の残る田んぼではコメント頂きました。やはり、自然のバロメーターとしての藻の重要性は、地域変われど、共通の指標に出来そうです。ちなみにすぐ隣の慣行栽培の田んぼには、サヤミドロは無く、アオミドロ(土が出来ていない場合に発生しやすい)が発生していました。同じ川の水を入れているので、田んぼの環境は水で決まらず、土で決まると得心。特に今年無施肥にしてから、浮き草やサヤミドロ、アミミドロ等の有益な水草が増えました。

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2.田んぼノート
い草が生えて困っている事を村田さんに相談した所、い草が生えて来た時期の話になり、その田んぼのことを細かく記録していないことが判明。「前回の勉強会で各田んぼ毎にノートに記録を取ることの重要性をいったじゃん!」と怒られました。まさに草にどう対処していくか考えるのに、目の前で起こっていることをちゃんと把握出来てないと手の打ちようがありません。反省です。

3.草対策は緻密にするべし
い草、コナギ、ヘイ等それぞれに子孫の残し方や発芽条件が異なります。それら全てに対処するのに、大まかにチェーンをかければそれで良い、という物ではなく、それぞれの生態を調べ、一つ一つ原因を潰していく努力が大事だと教わりました。自分の田んぼに対する自分なりの対策を立て、田んぼの畦塗りから、秋起こし、春起こし、代掻き、二度掻き、田植え、入水など、各作業に落とし込んでいこうと思います。

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田中真由美さん|滋賀県長浜市

8月にSHARE THE LOVE for JAPANの挑戦者としてオーガニックライフスタイルEXPOに参加した際に、ちらりと聞かせていただいた村田さんの栽培のお話が驚きの連続であまりにも面白すぎ、その栽培方法に非常に興味を持っていたところにこの勉強会の開催を知り、是非聞きたいと思い参加しました。

私自身も生まれた時からひどいアトピーで、薬を使い続け、大人になってから食事療法によって治療に成功し、食べるものによって身体が変わることを強く実感していたので、そういった点でも、アレルギーの方から喜ばれる村田さんのお米作りに興味を惹かれました。

村田さんは自分の時間をきちんとかけて、自分の身をもって経験を積まれてきた方なんだなとお話を聞きながら思いました。試行錯誤して実践してこられた方の言葉は筋が通っており、地に足の着いた話をされるので、一つ一つの話をスッと飲み込むことができました。今すぐ取り入れたいと思ったのは、自身の田んぼの草を知ること。それから、田んぼごとに管理ノートを作ること。自分の田んぼのことをよく知ることで、起こる出来事の原因を知り、対処することができるのだと学びました。また、「稲刈り後が一番田んぼにいる」と話されていたのが印象的でした。来年の収穫をイメージして、終わった瞬間から田んぼを始められていて、これは今の私に必要なことだと思いました。稲が居心地よく過ごせるよう、翌年の植え付けまでに未分解の有機物をどう分解させるかに焦点を絞り、取り組まれていました。

無肥料無農薬で収量も確保されていると聞くと本当に不思議で驚いてしまうのですが、聞けば聞くほど、具体的で実現可能な栽培方法でした。また経費が極限まで抑えられる点では、農業経営をしていく上でとても希望の持てる栽培方法で、このやり方なら大規模経営を視野に入れてもいいと思いました。今後の農業のあり方をガラリと変えてしまうような可能性に満ちたお話でした。

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杉浦秀幸さん|山梨県北杜市

昨年私は営農しつつ地元農家さんで自然栽培米を苗づくりから脱穀まで研修させて頂いていました。その際、畑作・稲作を両立させる為に考えさせられたことが「除草にかかる労力」です。

研修先では、10aの田んぼをほぼ1人で管理し、田植え後の約1ヵ月間(週1日×4)、田車除草機と手除草を丸1日かけて行いました。(かなりの重労働で、翌日は体がバキバキです。)それに加え畑仕事…。除草期間は出荷・夏野菜の定植や管理業務が重なりかなりしんどかったです。稲作をやりたい気持ちは就農以前からありますが、10a程度で手一杯でしたので、現段階では一先ず手を付けず畑作で営農していく意向でした。

村田さんはかなりの規模で稲作をされている事、チェーン除草を取り入れている事を伺っていたので、是非この機会にお話を伺いたいと思い今回の勉強会に参加させて頂きました。

|勉強会での学び
1. 代掻き・田植え・除草管理のタイミング
2. 未分解の有機物を残さない
3. 深水管理の利点
4. 均平の重要性

|勉強会での気づき
村田さんは講義のなかで何度も「一歩変われば土が変わる、百歩変われば環境がかわる」と言われていました。これは自分の圃場をよく観察し、学べという事だと感じています。
「要因・原因・起因」
全ての点が繋がり線になっていく…
基本的な事ですが、今回の勉強会で改めて教えて頂きました。

勉強会を終えて、改めて「米作り」やりたい!ワクワクしてます。
稲作に関わる農機具や施設、労働力など課題は盛り沢山ですが近い将来始めたいと思います。

今回の学びの場を設けて頂きありがとうございます。講師の村田さん、SHARE THE LOVE for JAPANの方々、並びに東樋口さんとても貴重なお時間を頂き心より感謝いたします。

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大野收一郎さん|奈良県奈良市

野菜は今まで農薬不使用でやってきて、お米の栽培は過去の経緯があり、1/3の減農薬のままでしたがいつかはチャレンジしたいと思っていました。

お米は野菜と違い、代掻き、水もち、雑草の種類、取水・排水など農薬不使用は難しいイメージがありました。しかし村田さんの講義を拝聴すると、水稲の特有の部分と、野菜とも共通の部分がありました。

・均平は超大事
・深水がいい 畦は高く
・冷えはダメ、温まるのは良い(人間と同じですね)
・有機物分解が早いほうが良い
・耕運は浅く
・雑草で良い悪いの判断(○アミミドロ、サカミドロ ×アオミドロ)
・粗代掻きと本代掻きの間隔

いつかはチャレンジしたいと思っていたところなので、来期は1枚から挑戦したいと思います。とても貴重な機会をありがとうございます!

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八兒美恵子さん|福岡県飯塚市

今回のお米勉強会は奈良県。前回の大分での勉強会を踏まえて、東樋口さんの圃場を視察しました。
東樋口さんの圃場は、村田さんの講義に出てきたサヤミドロなど藻がとてもよく茂っていて、土作りがしっかり出来ているんだなぁ、と驚きました。また、周りは慣行の田んぼに囲まれていましたが、慣行の田んぼにはアオミドロが茂っていたり、土からメタンガスが出ていたりと、村田さんの講義を実際に目視して東樋口さんの圃場と比較し確認することができ、とても勉強になりました。
今年の2月に村田さんの講義で習った除草法は、私の圃場はタニシが多くてほとんど使いませんでした。今回その事を村田さんに確認したら、「タニシがいるところは、除草していないよ」との回答を頂いたので、来年からも様子をみて除草を考えて行きたいなと思っています。今回の講義の中で、「生えた草の種を落とさないように、ヒエなど穂だけでも持ち出すのが大切!」と言われていたので、私も福岡に帰って早速生えていたヒエの穂を刈り取りました。この作業を毎年して行けば草の生えない圃場になる!と希望をもって根気よく続けて行こうと思います。

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(穂刈りしたヒエ。これが落ちてまた生えてくる…恐ろしい!)

また、私の圃場はまだサヤミドロやアミミドロが生息しておらず、水生昆虫の数も少ないので、今年は圃場の様子を見て未分解の有機物を残さないように田んぼの管理をしています。
今回は関西開催との事で、前回よりも参加者が多くて嬉しかったです。お米づくりは、場所が変われば土壌も品種も違うので、また色んな圃場を見る機会があれば積極的に参加して行きたいです。

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(福岡の私の圃場。稲刈り前に台風が来てしまい、心配してましたが、無事に収穫出来ました)

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