SHARE THE LOVE

2019.04.15

SHARE THE LOVE for JAPAN参加農家交流会を開催しました

2019年2月10日、毎年恒例となった「SHARE THE LOVE for JAPAN 参加農家交流会」を開催し、全国各地の参加農家29名とプロジェクトスタッフが、東京・青山の株式会社トゥルースピリットタバコカンパニーに集いました。当日は、SHARE THE LOVE for JAPANの活動報告を行うとともに、参加農家の近況報告や情報交換も活発に行われる機会となりました。

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|参加農家の創意工夫を学ぶための情報交換

多様な参加農家が集まる場は、農家間で情報交流ができる貴重な機会の一つ。「日頃抱えている悩みや課題を打ち明けて、他の参加農家のやり方や考え方を聞きたい」という要望に応え、情報交換の時間も設けました。

「価格設定」の悩みについて質問が出ると、「安さを優先するのではなく、きちんと美味しいものを作り続けられ、かつ自分が売りたい価格を設定するべき」「最初に設定した価格を上げるのは難しいため、高めに設定するべき」という意見が出ました。自分を理解してくれる良客を見つけるためにもターゲット設定が重要で、「完成した商品を誰に売りたいか考えるべき」「付加価値をつけることで、お客さんがお客さんを呼んでくれる」「スーパーや百貨店など、販売チャネル別に商品を変えるという方法もあるのでは」という意見も聞かれました。

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災害が多発した2018年に苦労した栽培についても話が及び、「暴風対策の支柱の立て方の工夫」も共有されました。「ネットを使う」「トマトのソバージュ栽培の際は、支柱を補強するロープを張る」「キュウリを地生え栽培で行った(でも収穫は大変)」「台風シーズン前に収穫が終わる品種を栽培」「防風用ソルゴー」「台風前に倒し、また起こす。畝間を広めにとる」という意見が出て、地域は違えども、それぞれが体験された苦労話や成功談にも花が咲きました。

「天災に左右されにくい」「保存が高くネット販売の相性がいい」「高単価で売れる」という理由から、挑戦したい人も多い「加工品作り」については、「数百万・トン単位」といった大口のロットで製造する業者が多い中で、規模の合う業者の見つけ方に悩む方もいました。参加農家の中には、「数千円・数十個単位」で対応してくれる業者に依頼している方もいて、「小さなロットでも製造対応してくれる業者を見つけるまで探し続けるのがポイント」と、諦めない姿勢が功を奏す例を挙げる方もいました。

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続いて「野菜セット販売の工夫」。会員の増やし方については、「学校に食材提供してママたちに広まった」「催事には必ずチラシを持っていく」「キャンセル待ちをつくる」「『1日●●箱のみ』と限定感をつくる」といった意見が出ました。また、継続していただくために、「入会金を設ける」「ネットショップでは簡単に売らずに、問合せの連絡をいただいた方に電話やメールでしっかりと対話。注文へのハードルは高くなるが、お客様とのつながりが深まるため、端境期で数ヶ月空いてしまっても8〜9割は離れずほぼ一年以上続く良客になってくれる」などといった意見も飛び交い、仲間の創意工夫に感心している様子が伺えました。

ゲストでお招きした「有機農業参入促進協議会」の岸根正明さんにも、「風に飛ばされない方法」「土壌診断をせずに、どうやって自然や畑を見ているか」「端境期の乗り越え方」などの質問がされました。「連作をしてもOK。連作によって土の変化、偏りが生じることがNG」「虫が大量発生した場合は、その前の気候が関係している可能性が高い」など、小手先の技術ではなく、自然の大きな流れを見ていくことが重要という話を頂きました。「慣行栽培の方法から学ぶことも大切。大規模栽培では、失敗した場合の影響が大きい分だけ、技術レベルが非常に高く、成功パターンを多く持っている。農法で区別するのではなく、お互いに学びあうべき」といったメッセージもありました。

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|参加農家によって開催された研修・勉強会の報告


SHARE THE LOVE for JAPANでは、強い意志で持続可能な農業に挑み続ける参加農家同士が交流を重ねる中で、参加農家が主体となって、共通するテーマや地域ごとに研修や勉強会が開催される機会が増えてきました。今回の交流会では、1月・2月に開催された勉強会の報告も行われ、各地の学びを共有することができました。

1月22日・23日に、神奈川県愛川町で有機栽培で野菜を作る「NO-RA ~農楽〜」の千葉康伸さんを講師に迎えた「2017年挑戦者」の研修。当日の研修内容に加えて、「作付けの考え方」「緑肥を使った土づくり」「8月の夏作は追わずに秋作で収益を確保する」など、千葉さんから学んだ極意が紹介されました。

続いて、「四国の新規就農者が学び合える場を作りたい」と徳島・高知・愛媛のメンバーが企画した「四国組 勉強会」。膨大な農業知識をお持ちで、兼ねてより是非講師として招きたいと考えていた「Happy Village Farm」の石綿薫さん(長野県松本市)に講師を依頼し、1月25日・26日に徳島県上勝町で開催されました。テーマは「作物を健全に育てる土づくり・育土技術と病虫害対策」。運営を担当された阿部正臣さん(徳島県上勝町)から、健全な作物を育てるためにポイントとなる作物の「根張り」や、そのための重要な育土について紹介されると、会場から盛んに質問が飛び交いました。

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そして、12haという規模で自然栽培の米づくりを行い、加工品設備も完備し、より多くの方に自然栽培農産物を届けたいと精力的に活動する「農未来 NOU FUTURE」村田光貴さん(大分県国東市)の元で、2月5日・6日に開催された「お米勉強会」。村田さんはSHARE THE LOVE for JAPANの開拓者であり、村田さんの米づくりを学びたいという開拓者・東樋口正邦さん(奈良県平群町)の呼びかけで開催され、賛同する参加農家と地元国東市の農業関係者の方々が参加しました。「肥料も農薬も使わない自然栽培とは」「理想の田んぼ(深水・水持ち・均平・有機物の分解が早いこと)」「圃場の管理(耕耘・畦塗り・代掻き)「除草」「その他、お米の品種、栽培規模、設備・機械など」を学び、今年の米作りシーズンに生かすヒントを持ち帰りました。

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|SHARE THE LOVE for JAPAN 2019年の活動方針


SHARE THE LOVE for JAPANでは、総勢70名となる参加農家のネットワークを活かして、2019年も引き続き、参加農家主体の活動をサポートしていきたいと考えています。交流会後に、「関西」「関東」「信州」などの地域や「少量多品目栽培・個人宅配の野菜セット」「加工品」「トマト栽培」など共通のテーマごとにチームを立ち上げたいと意見交換が活発にされている様子を見て、「大地にやさしい農業」という同じ志を持った仲間の輪の広がりが実感できる機会ともなりました。今後の活動も随時レポートしてまいります。

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参加農家交流会の翌日は、参加者有志で埼玉県小川町を訪れ、「小川町と有機農業について」学ぶ1日となりました。詳細については、次回レポートにてご紹介します。

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