SHARE THE LOVE

2018.09.15

|九州勉強会レポート|先駆者のチャレンジスピリットに学ぶ!~有機農業の先進地山都町訪問~ 

SHARE THE LOVE for JAPAN(以下STL)では、地域やテーマごとに参加農家さんが集まり、農業技術などについて学び合う機会が生まれてきています。8月22日には、日本の有機農業における聖地とも言われる熊本県・山都町で、その礎を築いてこられた先駆者・村山信一さんの元を、九州で農業を営むメンバーの皆さんで訪問させていただき勉強会を開催しました。

台風19・20号が立て続けに九州を通過する中、参加者も限られましたが、村山さんご夫婦には、農業技術のみならず、「誰もしていないことを成し遂げたい」と有機農業に挑んでこられたこれまでの歴史や挑戦についても惜しみなく聞かせていただき、参加者皆さんの胸に今一度農業へと向き合う自分への問いを残す機会ともなりました。

詳しくは、参加された皆さんのレポートをご覧ください。

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|当日のタイムスケジュール|

2018年8月22日(水)

13:00~ 熊本県山都町・村山信一さんのご自宅にて座談会
     ▶ ご挨拶
     ▶ 参加者の皆さんの自己紹介
     ▶ 村山さんから|これまでのご経験・現在について
     ▶ 皆さんから|村山さんに質問大会
     ・栽培技術(米・野菜づくり / 里芋について / 土づくり)
     ・有機部会を作った時のこと・地域との連携について
     ・経営(多品目ではなく栽培品目をしぼった経営について)など 

15:00~ 村山さんの圃場見学
     ▶ 田んぼ(品種:わさもん)
     ▶ 畑(里芋・生姜・カボチャ)

18:00~ 懇親会


|実施概要|

九州のメンバーによる初の勉強会開催。訪問先は、熊本県山都町の「先駆者」村山信一さん・澄子さんの圃場とご自宅。有機農業を始めた当時の創意工夫やチャレンジのお話から始まり、稲作除草技術・里芋やレタスの栽培技術、販売の方法などについて、いろいろな学びを頂く中での意見交換ができました。台風の影響で参加者が少なくなってしまいましたが、秘蔵の栽培記録アルバムや、ご夫妻が出演されたテレビ番組を拝見したりと、和やかで楽しい学びの時間となりました。

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|参加者のレポート|

椛嶌剛士さん|熊本県南阿蘇村

私の住む南阿蘇村から見て、峠を越えて隣町にあたる山都町は、有機農業がとてもさかんな町です。特徴としては、町のなかにいくつもの生産者グループがあり、皆さん有機JAS認証をとって、品目を絞って中規模で作付けして、生協や業者さんとの取引がメインであるという点です。STLさんのご縁で、そのような山都町の有機農業のパイオニアのおひとりである村山さんと奥様の澄子さんに初めてお会いし、ゆっくりとお話をお伺いすることができました。

今の世代と違って、まだ世の中が有機農業を認めていなかった時代の工夫や努力のお話には、ただただすごいなあ、と感じました。大雨で崩れた圃場を連日夜中まで作業して直したお話、新しい品種を試して大失敗したお話、ジャンボタニシを田に入れて大喧嘩になったが後からは感謝されたお話…。そして、農薬を使っていて舌がしびれてきて、有機農業に切り替えたというお話、飼っている日本ミツバチの数が減っているというお話…。奥様の澄子さんが、栽培の記録や家族の営みをまとめた「宝物」であるアルバムを惜しみなく見せてくださいました。パイオニアの農家さんが築いてきたものの大きさを感じました。

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私たちの世代は、つい「どう売るか」「資材をどう使ってどう安定供給するか」ということにばかり力を注ぎがちですが、何か大事なことを忘れていないかな?有機農業の道を歩もうと思った時の初心はどんなだったっけ?と、自問自答の機会をもらったような気がしました。

栽培技術に関しては、ジャンボタニシを入れる際の水管理や、里芋の逆さ植えや前年のマルチを翌年の畝間の防草に使用する際のポイントについて詳しく教えて頂きました。また、ヨトウムシを捕獲するために酒・酢・砂糖を使い自作する資材も見せてくださいました。

台風の影響で参加者が少なく、村山さんのお話をもとに若手が意見を出し合って教え合うという盛り上がりには少し物足りない感じはありましたが、それは次回の課題ということで楽しみにしたいと思います。

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影沢裕之さん|熊本県南阿蘇村

今回は、水田のヒエ等の雑草対策が何かあればと期待しお伺いいたしました。ジャンボタニシを活用する方法で先ずは雑草を出さないということでしたが、私の住んでいる南阿蘇を含め、今年の冬は寒すぎて多くの所でジャンボタニシが凍死してしまったようであります。うちも今年はジャンボタニシが激減して雑草が出てきてしまいました。雑草が出てしまってからの対策はなかなか厳しいようで、村山さんもそこは苦労されていました。雑草とジャンボタニシの量とのバランスも今後の課題です。同じ水系からジャンボタニシをあらかじめ集めておいて、水田に投入する手段を検討してもよいかなと思いました。また、小さいことですが、ジャンボタニシをあまり動かしたくないときは「水を落とす」。

村山さんの田は山間部で斜面が多く、草を刈る面積が半端なく広いのですが、きれいにされていて、わたしももっと頑張らなければいけないと思いました。

またこれは前回村山さんから伺ったのですが、お米の発送の時などに、ちょこっとでも(タマネギ一つでも)おまけに入れてあげて、お客様に喜んでもらうことが、小さなようで長い間お客様になってもらうポイントだということを伺い、いつもではないのですが(入れるスペースがないときや野菜がないときもあるので)、なるべくお味噌の箱のすきまに旬な野菜を少し入れることを実践させていただいています。お客様との良い絆作りになっていると感じております。

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八兒美恵子さん|福岡県飯塚市

「暑さに負けるな!サトイモの涙」
今回の九州地区勉強会では、熊本県山都長で長く有機栽培でお米に取り組んでいる村山さんご夫妻の所と言う事で、村山さんが取り組まれている「ジャンボタニシ除草」や、地域やJA部会での有機農業への取り組みについて学びたいと思い参加しました。

1970年代に山都町で有機農業大会が行われた事を機に有機農業が広まって行った経緯や、村山さんの取り組みの歴史、JAで有機農業部会を作るときは、JAの肥料が売れなくなるからと、3年間は部会と認めてもらえなかったことなどお聞きし、それでも山都町が有機農業の町として認められているのは村山さんたちの努力の賜物なのだと思いました。

タニシ除草の話では、草を食べるタニシと食べないタニシがいるそうで、その見極めが大事とのことでした。タニシを入れてもカラスやサギに食べられてしまうことや、大寒波の影響で越冬出来ずにタニシの数が増えないことなど未だ課題も多いそうでした。

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お話を伺いながら、村山さんの奥さんが写真をまとめたアルバムを見せてくださり、今まで取り組んできたお米や野菜の様子、また大雨で土砂崩れのあった様子等詳しく見せて頂きました。さといもの逆さ上や、細長い種芋は使わない事、レタスの栽培の仕方はとても参考になりました。次回の作付けで実践してみようと思います。
 

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圃場見学では、とても大きな万次郎カボチャや、しょうが、サトイモ、バナナの木、水田を見学させていただきました。今夏の水不足で水の豊かな山都町でも水不足だそうで、サトイモの葉が日焼けしてしまっていて今年は減収になりそうとのことでした。しかし、サトイモの葉が自らの水分を葉っぱから出して根元に水を与えるという様子(村山さんは「サトイモの涙」とおっしゃっていました)を映像で見せてもらい、サトイモの生命力の強さに驚きました。初めて見るサトイモの事象に、じっくりと野菜と向き合っている村山さんの姿勢を実感しました。またご夫婦でとても楽しそうに農業のお話をしてくださる姿がとても印象に残りました。

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(1反ほどのサトイモ畑)

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(サトイモ、黄金生姜の畑。風除けにバナナの木が生い茂っていました)

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(万次郎カボチャの畑)

村田光貴さん|大分県国東市

農業をやるにあたっては、不利な環境下で営農されていて
オーガニックということに理解がない時からそれに取り組まれていたこと、
その大変さを思うと頭が下がります。

田んぼでやっているジャンボタニシ除草についても
いまの私が同じような立場にいることから大変参考になりました。

ジャンボタニシはお米農家にとって敵とされています。
草を食べてくれるのですがお米も食べてしまうからです。

上手く付き合えば草取りをしないで田んぼができるのですが
なかなか理解できる人は少ないです。

自分がいる地域も、元々ジャンボタニシがいなかった地域ですが
5年ほど前から増え始めました。

「自分はタニシを増やしたい」「地元の人は増やしたくない」
といった状況が村山さんの当初の立場と同じような感じだったので
どのように地域の理解を得たのか?の所に興味がありました。

出会うきっかけをいただいたことに感謝して
これからも連絡を取り合って学びを得たいと思っています
ありがとうございました。

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