SHARE THE LOVE

2018.08.27

|お米研修レポート|おもひでぽろぽろ?有機農業先進の地でお米について徹底的に聞いてきた!

SHARE THE LOVE for JAPAN(以下STL)では、地域やテーマごとに参加農家さんが集まり、農業技術などについて学び合う機会が生まれてきています。今夏7月15日(月・祝)〜16日(火)には、水稲栽培をしているSTLメンバー3名が集まり、先駆者の山形県・遠藤五一さんの田んぼに研修に行ってきました。

詳しくは、参加された皆さんのレポートをご覧ください。

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|当日のタイムスケジュール|

2018年7月15日(月)
11:30~12:00 遠藤五一さんご挨拶
12:30~13:30 昼食
14:00~17:00 遠藤五一さんの田んぼ見学(除草方法の見学・実践など)
        除草方法のお話(紙マルチ・墨汁・鯉・合鴨・ジャンボタニシなど)
        肥料と設備見学(乾燥機・色彩選別機・金属探知機・
        精米機・冷蔵庫・各作業スペースなど)
18:00~    懇親会

2018年7年16日(火)
9:30〜11:00  除草機械の紹介(ビニペット除草機)
        座学(食味分析・加工品の紹介・有機栽培の強み・品種・
        上和田有機米生産組合について・その他質問など)

|実施概要|
今回は、先駆者の山形県・遠藤五一さんの元、無農薬稲作での大きな課題である除草法をメインに教えていただき、農家としての悩み、またお互いの取り組んでいる事を語り合う有意義な研修となりました。

圃場では、除草カルチ、溝掘機などを使った実践を交えながら見学させてもらい、仲澤さんは溝掘機に乗って畔周りの除草を体験しました。

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施設では、綺麗に整理整頓された倉庫やパンフレット、お米を保管する冷蔵庫、有機JAS認定の肥料や、プール育苗に利用する鉄パイプを見学。加工品として、玄米コーヒーをアイスクリームにかけて試食をさせて頂きました。懇親会では、映画「おもひでぽろぽろ」に出てくる青年農家のモデルとなった話をしていただき、美味しい食事と地酒を楽しみました。

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|参加者のレポート|

八兒美恵子さん|福岡県飯塚市

2年前のSTLマルシェで五一さんのお米を食べて以来、「あんなに美味しいお米を有機農法でどう作られているのか」と気になっていました。
五一さんは7haの圃場で、紙マルチを主に使用されていて、(専用の田植え機が必要なので)流石に自分の圃場ですぐ導入は出来ませんが、「溝掘機」で雑草を土壌中に沈めてしまう除草は、1人でも実践出来そうなので、「溝掘機」の購入を検討しています。また、チェーン除草ではなくハウス資材で作る「ビニペット除草機」は、軽さや、作りやすさもとても参考になりました。

肥料に関しては、食味を良くするためのミネラル資材とアミノ酸資材を使用しているとの事で、全て有機JAS適合を使用しているとの事でした(五一さんの圃場は、特別栽培米も作ってらっしゃいますが、そこにも同じ有機JAS適合の肥料を使用)。穂肥は食味が落ちるのでやらず、しっかり光合成をさせるために分げつはほどほどにして、稲同士が重なって光合成を妨げないようにしているそうで、分げつはすればするほどいいと思っていたので、目から鱗でした。

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「お米はその人の性格が全部わかっちゃうから」「失敗は40歳までしても大丈夫」など、五一さんの一言一言が心にドカンと響きました。五一さんは、様々な場所でお米作りを指導されているそうで、「お米作りは一年に一回しか出来ないけど、色んなところで試せば年に何回も米作りが出来るよ」と仰られていて、「確かに!」と納得。STLでの先駆者研修や、仲間の皆さんの圃場見学も1つ1つが自分の今後の米作りの経験に活かせるんだと、改めて納得するとともに、STLの仲間の圃場はもちろんですが、慣行、有機に関わらず色んな圃場に見学しに行きたいなと思いました。

短い時間でしたが、五一さんの米作りへの姿勢をビリビリと感じた二日間でした。

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(研修2日目の朝の新聞に偶然にもおもひでぽろぽろでモデルとなった五一さんの記事が…)

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新田聡さん|石川県羽咋市

7月16日朝5時。
今期から1ha増やした自然栽培の田んぼの除草が直前に終わり、「やることはやった」という気持ちと、「もっとできるはずだったんじゃないか」という気持ちを抱え、電車に揺られていました。北陸新幹線かがやき を大宮で乗り継ぎ、つばさ に乗って米沢へ。初めての米沢はイメージを覆す蒸し暑さで、異常に早い今年の梅雨明けと強い日差しは能登の田んぼと変わりは無いようでした。

遠藤さんはとても気さくな人。
これまでご自身で試行錯誤を重ねてこられた言葉の厚みを感じる方でした。

ビニペット除草機。畔側除草に溝切りライダー。深くなった田んぼには山砂。田んぼの吸血鬼コナギには塩水が効くかも。同じNPKでも有機と慣行では結果が違うこと。ミネラルは土と作物の健康の源。田植え後20日過ぎても除草OK。簡単最高 プール育苗。分蘖角度は15°がベスト。コシヒカリは倒してなんぼ は間違い。8俵以上は作っちゃいけない。米の保冷庫など安くもらってきた装備の数々。一括で納め、順次買い取るJAと生産組合の特別な関係性。などなど。

五一さんが当たり前にわかっていること、やってきたことの一端を知るだけでも、来期からの僕の田んぼの改善点をいくつも見つけることができました。

米沢のお酒はおいしかった!日本3大文殊の寺でお参りできた!STL事務局のスタッフと仲澤さん八兒さんと再会できた!そして、最後に道の駅で食べた“アレ”は今も僕の舌に心地いい感触を残して続けている。五一さん、ありがとうございました!

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(「稲の角度は15°!」 自信に溢れた五一さんの溝切り後ろ姿)

仲澤康治さん|埼玉県小川町

今回、私が就農した埼玉県小川町と同じく長年有機農業に地域で取り組んでいる高畠町の遠藤五一さんのところに視察に行けるということで、自分の田畑もこの時期、夏野菜の管理・収穫、草刈などでかなり忙しいが、なんとか時間を作って参加しました。高畠町では上和田有機米生産組合という組織を作って長年有機稲作に取り組んで、品質の高いお米を生産しているとのことで、ぜひ見学してみたいと思いました。

早速、実際に遠藤五一さんに各種の機械や設備、田んぼを見せて頂きましたが、田植えでは「紙マルチ」を利用されているということで、今回見に行った7月中旬では既に分解されて跡形もなくなっている頃でしたが、3反ほどの大きな田んぼにほとんど雑草は生えておらず、「紙マルチ」の威力は絶大だなと感じました。

小川町では主流の「早期湛水での藻や水草、生き物を増やして抑草する方法」や「米ぬかを利用した方法」は、安定した効果が出ないと困るからということで「紙マルチ」での雑草対策を採用しているとのことでした。さらに5条の中耕除草機やバイク型の溝切り機なども活用して、非常に安定して技術の確立した雑草対策が行われているという印象でした。

また出荷調製に関しても、エアコン完備の出荷調製スペースに、LED方式の色彩選別機、金属探知機など各種機械・設備が配備されており、遠藤五一さんの品質へのこだわりがよく分かりました。

紙マルチ田植え機は高価(450万円とのこと…)でとても真似出来ませんが、遠藤五一さんから資金の少ない新規就農者でも真似できそうなおすすめの雑草対策農具を教えて頂いたので紹介します。その名も「ビニペット除草機」!

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ビニペットは、ビニールハウスのビニールを抑える部分の金具のことです。各部品を新品で購入しても1万円程度、上手く廃材で揃えれば5000円くらいで出来そうです。チェーン除草機よりも廃材で揃えやすいのが大きなメリットです。しかもチェーンよりもスプリングが土によくめりこんで、除草効果も高いとのこと。ぜひ私も来年試してみたいと思います。

遠藤五一さんですが、本当に明るいお人柄で、初めて会った私たちにも丁寧に色々教えて頂いて、きっと地域の方々からもとても慕われているのだろうなと感じました。地域を引っ張るリーダーの謙虚ながらも熱い農業への姿勢を見せて頂いたような気がした今回の研修でした。遠藤五一さんはじめ関係者の方々、充実した研修を本当にありがとうございました。



|参考|「ビニペット除草機」の寸法とコスト計算 (仲澤康治さん作成)

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