2016.04.27
SHARE THE LOVE for JAPAN 参加農家交流会を初開催
2月20日、SHARE THE LOVE for JAPAN 初めての試みとなる「参加農家交流会」を開催しました。参加農家同士の交流を深めて頂くとともに、有機農業と関係の深い領域で活躍する専門家とのリレーションを構築し、自身の農業経営に寄与する情報を持ち帰って頂くことが目的です。当日は、全国から20名を超える有機農家が、東京・青山のサンタフェ ナチュラルタバコ ジャパン株式会社に集いました。
交流会には、土壌微生物生態学を専門とする横山和成先生(尚美学園大学尚美総合芸術センター副センター長)と、環境負荷の小さい農業の普及を目指し、野菜の流通も手掛ける「株式会社坂ノ途中」代表取締役・小野邦彦さんをお招きし、ご講演頂きました。
微生物多様性が大切な理由
横山先生は土壌微生物生態学の第一人者。土壌生物性の世界共通フォーマットデータベース化を開始し、土壌に含まれる微生物多様性の測定・評価・改善までを手掛けられています。
横山先生によると、「農業を語る上で『土を育てることが一番大切』ということがよく言われるが、その意味は必ずしも正確に理解されていない」とのこと。土の良し悪し、つまり「土壌の豊かさ」とは、「化学性(PH、窒素・リン酸・カリ・ミネラルの含有量など)」「物理性(粒状・堅さ・水捌け・水持ちなど)」「生物性(微生物・小動物など)」の3要素を総合して評価されます。その中で、「生物性」については、これまで長らく評価する方法がほとんどなかったため、あまり重要視されてきませんでした。
現在では「生物性」を可視化する技術が確立され、誰でも自分の畑の「生物性」を測定することが可能になっています。そして、この「生物性」については、「『どんな微生物がいるかを特定すること』よりも『どれだけ多様な微生物がいるか』という点が重要」ということまで分かってきています。その理由は、一定以上の微生物多様性があれば、病原菌やウイルスなど、様々な外敵に対する対応能力が高まるということにあります。そして、この微生物多様性が高ければ高いほど、農作物の生育・収穫にも好影響を与えます。「高名な有機農家の方の畑では、多様性を示す値がおしなべて高い」という横山先生の研究実績も、その事実を裏付けていると言えるでしょう。
今回は、事前に参加者の圃場の土壌分析を行いましたが、「今後も定期的に測定し、都度、適切な対応を行うことで、微生物多様性は必ず高まる」というアドバイスを頂きました。「微生物多様性を高めることは、最終的には経営の安定化につながる」という言葉に、参加農家の方々も知的好奇心を大いに刺激されたようでした。
中間流通業者からみた「お付き合いしたい農家さん」
小野さんは「未来からの前借り、やめましょう」というメッセージを掲げ、農薬や化学肥料不使用で栽培された農産物の販売や、自社農場の運営を通して、環境負荷の小さい農業を実践する農業者を支えています。また近年は、東アフリカでも有機農業の普及にも取り組んでいます。
小野さんが代表を務める「坂ノ途中」では、自社店舗での販売や通販の他、レストランなどにも野菜を卸しています。そのため、この日は中間流通業者という立場から、「こんな野菜を扱いたい、こんな生産者の方とお付き合いしたい」というお話しを頂きました。
「坂ノ途中」をはじめ、野菜を取り扱う中間流通業者は、日々、レストランなどから注文を受け、生産者さんへ注文し、納品してもらって、販売する、という流れの中で仕事をされています。その中で一番大切になるのは、何といっても「マメなやり取りができること」。「『豊作と聞いて注文を増やしたら、逆に農家に迷惑をかけた』とか、『生産者の方が状態や味が微妙かも?と思って出荷した野菜のために、私たちが一日中クレーム対応に追われた』などのトラブルは枚挙に暇がない」とのことですが、こうした出来事も連絡を密に取り合っていれば未然に防ぐことができるとのこと。
「こちらの作業を想像して頂いて、しっかり検品されている、梱包・包装が丁寧で美しい、金額入りの納品書が同封されている、などの対応をして頂けると非常に嬉しいですし、今後もお付き合いしたいと思います」というお話を受け、参加農家の皆さんも今後の販路開拓について、貴重なヒントを得られたようです。
深まるSHARE THE LOVE for JAPAN の和
講演後は、農家の皆さんが日々農業の携わる中で感じている課題や疑問に関するディスカッションなども行われ、熱のこもった意見交換が繰り広げられました。その後の懇親会では、知った顔も初めての顔も入り混じるなか、同じ有機農業を生業とする同志として、すっかり打ち解けた様子で会話が弾み、近い将来の再会を誓い合って、それぞれの夢が待つ畑へと帰っていきました。
SHARE THE LOVE for JAPAN では、年間を通じて、参加農家の皆さんに役立つ情報提供や様々な方々との出会いの場を提供してゆく予定です。今後の活動に是非ご期待ください。
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