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2014.09.17

ストレスを武器に変える

いつだったか友人に、
「油井は自由そうで良いなぁ、ヒッピーとか楽しそうだよね。back to natureって言うの?羨ましいなぁ~」って言われたことがありました。
ハッキリさせておきますが、自分はヒッピーではございません。
髪が長いのも髭も無精が過ぎてこうなっているだけです。
むしろ会社勤めしてる方が立派だと思っています。

話は変わりますが、子どもの頃は、都会とは何を比べても一足も二足も遅いような地域で暮らしていました。
例えば『少年ジャンプ』なんかは関東より一日だったか二日遅れで発売されてましたし、中学・高校生の頃も、雑誌に掲載された商品も同じような感じで、だいぶ時間が経った頃に手に入るような環境でした。

そんなもんで、面白そうな情報をキャッチしたら、地元に届くまで待ちたくないので、とにかく自分で工夫して、雑でもなんでも似たようなのを作ったりしてました。物が無いなんてのはまるでストレスではなく、むしろ雑でも間に合えば良いと言う考え方です。
対して、都会では、特に日本はお金があれば大抵の物は手に入りますよね。工夫して雑なものでも間に合わせるって必要がないんですね。


その感覚の違いが、今の自分にようやく活きてきた感じがしています。
例えば、夏の盛りに葉っぱ物は芽が出にくいです。
そうなると、日陰を作ろうってことで寒冷紗っていう布みたいのを使うのですが、自分たちにそんな余裕はありません。
「じゃあどうすんの?」って考えていくと、「単純に日陰を選べば良いんじゃん!」って、なるわけです。これ、当たり前の発想のように聞こえますが、意外にも、日陰の農地は放棄される一方なのです。

写真の畑も耕作放棄地です。
山の多い日本では、日当たりの良い広い場所が人気があり、日陰の農地は草だらけだったりします。自分たちのような駆け出し農家では、条件の良い場所にお金を払って畑を借りるなんて、やりたくてもできないことだってあります。

0917yuizakki

そんな、今ある物でどうにかしないといけない場合、お金があれば…なんて甘ったれたこと言う暇があったら工夫してどうにかするのも楽しみの一つだったりします。日陰でも山の中でも、その場所に合った作物を育てられるようにすることで、ストレスに感じそうな事柄を武器に変えることだって出来るはず。

教科書なんてあっても、発想の転換や工夫までは教えてくれません。
上手な人に聞いても「日陰はダメだって」言われたりします。
似たような感じで、「肥料と農薬を買わないと売り物なんて出来ないよ」って言われたりもしますが、そこもきっと工夫することを楽しめれば、少しずつでも野菜を作っていくことは出来るはずなんですよね。

こんな感じの野生生活をヒッピーと呼び、僕のこともそう見えるならもうなんとでも言ってください!
ヒッピーでもパンクでもロックでもなんでも良いです。

challenger

油井敬史

自由を愛する畑びと
油井敬史(ゆいたかし)
神奈川県 相模原市

1979年宮城県角田市生まれ。
レストランなどの飲食業勤務やアパレルショップの経営を経て、有機農業の会社で二年半の研修を受けた後、昨年9月に就農。

写真家の眼 油井敬史

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