2014.12.08
何もかも自然は上手く出来ている
寒くなりました、風邪をひいてしまい、いつも以上に頭が鈍いです。
畑での作業は急ぐものがないので良いのですが、そういう時に限ってあちこち動く予定が入るもんで難儀しています。
ところで、早いもので畑にはもう霜柱が立っています。
こうなると凍ってしまう野菜があるんですね。
張ってるはずの根っこごと苗が持ち上げられたりして、春まで生き残れない野菜が多数出てきます。そんな霜に対向するため、今年はちょっと無理して雑草を残してみました。
というのも、風が地面に吹きつけてくるから霜が降りるのであれば、
「じゃあ地面に風が直接吹き付けなければどうなの?」って考えから、雑草を残したんです。
2枚の写真を見比べてみて下さい。分かりづらいですが、上の写真は雑草を残している所で、下の写真は雑草を残していない所を撮影したものです。
結果、見比べてみると、雑草を残した方が、霜の被害が少ないように見えます。でも、これは夏にも当てはまる話で、カラカラに乾燥してる時も雑草があると朝露なんかでわりと枯れなかったりするんですよね。畑の栄養になったり、資材の代わりになったりの雑草、使えますね(笑)。
もちろん暑さや寒さの話をするのであれば、枯れるものも出荷できないものも出ることは出ます。しかし、野菜の成長の邪魔にならない程度であれば、雑草ですら有効に働きます。寒さや暑さのピークをやり過ごすための微調整以外は、何が何でも「農業資材がなければ」ということでもなさそうで、ホッとしました。
例えば、普段はスッと立ってる葉物野菜も寒さがキツくなると葉っぱをベタっと広げたりします。恐らくこれも寒さから根っこを守ったりするためなのかと思うと、動物の毛が生え変わるように、何もかも自然は上手くできていて無闇に手を加えること自体が実はナンセンスなんじゃないかと思ってしまいます。施肥しない、資材もやらないで、「手付かずと手入れ」をするギリギリのところを攻めてみて感じるのはそういったことです。
色んな人が来るこの畑では、早く育てるとか、見栄えするように育てるとか、収益を上げてナンボっていうことでもないし、農法云々ももうそんな話をする時代は終わったと感じていて、むしろ色眼鏡無しで自然のつくり、作物の特徴や強さ弱さ、育てる中での楽しみや苦労までもシェアしたり、土や野菜に触れてもらうほうが遥かに実になる気がしています。
顔が見えるってそういうことですよね?
僕の現実は、収量を上げないとご飯が食べれなくなります。農家と名乗るからにはそれらしくしないといけないのも事実ですので甘ったるい事ばかり言ってられませんが、もう少し育てる側と食べる側が近くなるとガラッと変わるだろうと思います。
都市部のすぐ外にはそんな事を感じれる畑があるはずですので、僕の畑でも良いし、もっと違うとこでもいい。一度足を運ぶのもアリだと思います。農家さんは今時期は多少時間もあるでしょうから行ってみてください。きっと発見やお土産が手に入るでしょう。
自由を愛する畑びと
油井敬史(ゆいたかし)
神奈川県 相模原市
1979年宮城県角田市生まれ。
レストランなどの飲食業勤務やアパレルショップの経営を経て、有機農業の会社で二年半の研修を受けた後、昨年9月に就農。