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2017.09.22

白羽の矢

9月に入り、農作業もだいぶやり易くなってきました。涼しく、そして日も短くなっていくこの時期、個人的には1年の中で一番好きな時期な気がします。

さて、先日私に白羽の矢が立ちました。
山口出荷組合という、私の実家周辺の地域で農業を営んでいる農家によって構成されている組合があり、本年9月から組合の役員(会計役)を務めさせて頂くことになりました。

組合は約50名の農家で構成されています。メインの出荷先は、同じ地区にある大手のスーパーに設置して頂いている売場で、当組合会員のみ農産物を出荷できるという、地域密着型の売場になります。

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(組合が生産物を出品している「いこら市場」。“いこら”とは和歌山の方言で「いきましょう」という意味)

実は、私は昨年組合に加入したばかりで、しかも組合内で最年少。組合員の中には、私自身も記憶がない私の曽祖父をご存知の超ベテランの方も、元気に野菜を作って出荷されていたりと、これまで私が属してきたどのコミュニティとも一線を画す雰囲気があります。

ただ、組合員の高齢化や、高齢化に伴う出荷量の減少という課題が年々大きくなってきているようで、これまでは高齢者ばかりでどう手を打つべきか、という状態のようでした。

先日、顔合わせを兼ねた初めての打ち合わせを、スーパー側のご担当者様としてきました。スーパー側としては色々な珍しい野菜も売場に置いて、真新しさや品揃えをアピールしたい。一方で農家側としては、栽培に慣れていない野菜だと作り方もよく分からないし、うまく作れても消費者に浸透していないと売れ残るリスクが高く、結局作り慣れた野菜を作ってしまう、というのが実情のようです。

打ち合わせ中は、私が一番喋っていたと思いますが、色々と意見を交換させて頂いた結果、売上増を目指すべく、まずは以下の点について対応策をとっていくことになりそうです。
・野菜の売れ筋予測、および予測を踏まえた作付の調整
・品揃え強化と、新規作付品種の認知度向上のための売場作り
・組合員とスーパーとの双方向コミュニケーション手段の整備

私は、前組合長さんから役員の打診を頂いた時、放っておけば高齢化で衰退していく可能性のあるこの地域の農業を、単なる理想論ではなく、現実的な手段で維持・向上させていくという、普段の農作業とはまた違う経験ができればと思い、迷うことなく役員を引き受けました

自分が関わることによって少しでも良い状況にできればという思いで、まずは役員就任1年目、頑張りたいと思います!

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吉田壮伸

吉田壮伸(よしだたけのぶ)
和歌山県 和歌山市

1981年和歌山県生まれ。大阪大学大学院基礎工学研究科修了後、大手コンサルタント会社から最新のスマホアプリを扱うベンチャーまで3社のIT関連企業で働く。実家に戻って、2016年就農。農業を体系的に知るため有機農業の学校で学んだ。

写真家の眼 吉田壮伸

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