2017.07.02
考える人@畑
梅雨に入りましたが、和歌山では雨が降らない日々が続いています。せめて週1ぐらいでは降って欲しいですね。
今回は、「農作業も割と頭を使うんですよ」という一面をご紹介します。写真は我が家の夏の主力作物である冬瓜(とうがん)の畑の様子です。
(真ん中が畝の溝で、左右に冬瓜を植えた畝がある状態。
左側の畝:畝の右端が雑草で覆われている状態、
右側の畝:雑草対策を模索した結果、畝の左半分を鍬で中耕した状態)
写真の左側の畝の状態になるまでの流れを整理すると、
(1) 例年通りであれば敷きワラをするところを、資源の有効活用のため、周辺の畦などで刈り取った草(うちの周辺では焼却してしまうのが通例)で代用しようと考えた。
(2) 冬瓜の株周辺(畝の中央)には刈草を敷けたが、他の作業に追われて畝全面には敷けず、土が露出していた部分に雑草が生い茂った。
(3) 冬瓜が雑草エリアに伸長してきている。
という状態です。(写真左側の畝の状態)
ここで、この雑草をどうするかを考えるのですが、目指すところとしては、
「これ以上畝の雑草を伸ばさないようにして、今雑草の生えている部分に刈草マルチを敷けるようにしたい」わけです。
選択肢は色々出てくるのですが、どの選択肢をするかを決める際に頭に浮かんだポイントを挙げると、
・冬瓜の根が雑草エリアの地中まで伸びてきている可能性があるので、根を傷つけないようにしたい。
・雑草も有機物。できるだけ畝の中に残して分解させて養分として活用したい。
・手間や時間は極力かけたくない。
とすると、選択肢とそこから考えられることは、
・「手で除草」→雑草と冬瓜の根が地中で交錯している可能性があり、雑草を引き抜く時に冬瓜の根を傷めるおそれがある。時間もかかる。
・「管理機で耕運」→時間はかからないが、冬瓜の根をロータリーに巻き込んで傷める可能性がある。
・「雑草はそのままにして刈草を被せる」→刈草を被せても死ななかった雑草が生い茂って、伸びてくる冬瓜の根とさらに複雑に絡まる可能性がある。また手で除草するしか選択肢がなくなる。
となり、結局行き着いたのが、「鍬(くわ)で畝の表面の土を1~2cm程度、雑草ごと削りとる」方法でした。こうすることで、多少手間はかかりますが、
・雑草の葉と根が分断され、葉は土を覆ってマルチとして機能し、根は地中に残ってゆくゆくは分解されて養分となる。
・土を深く掘るわけではないので、冬瓜の根へのダメージはほぼない。
・固まっていた畝表面を中耕する(浅く耕す)ことになるので、表土が柔らかくなり、通気性や透水性が上がる。
といった感じで、冬瓜と畝を良い状態に持っていけると判断しました。中耕後の状態が、先ほどの写真の右側の畝です。
(現在の冬瓜の様子。順調に生育しています!)
日々こんな感じで、畑で考えながら作業をしているわけですが、来年の作付け時はこんな面倒なことを考えなくて済むように、あらかじめ大量の刈草と時間を確保しておきたいと強く思った1日でした。
吉田壮伸(よしだたけのぶ)
和歌山県 和歌山市
1981年和歌山県生まれ。大阪大学大学院基礎工学研究科修了後、大手コンサルタント会社から最新のスマホアプリを扱うベンチャーまで3社のIT関連企業で働く。実家に戻って、2016年就農。農業を体系的に知るため有機農業の学校で学んだ。