2017.05.14
少しの事にも、先達はあらまほしき事なり
私は親元就農で、今は父親と2人で農業を営んでいます。
SHARE THE LOVE for JAPANの挑戦者として親元就農の農家が参加するのは今年が初めてなので、親元就農の様子をお伝えできればと思います。
親元就農をされている/これから考えている読者の方もいらっしゃると思いますが、親とは農に対するスタンスや、目指したい方向性、持っている知識や感覚も全く同じではないはずなので、いろいろと衝突する場面はあると思います。
私もご多分に漏れず、父親と意見が割れることが多々あります。
時には畑でお互い大声で口論になることも(笑)。
親元就農だと、これまで親がやってきたことを、ある程度は踏襲する形で農業をしていくことになるのが通例だと思います。「完全な新規就農だと自分のやりたいことを好きなようにできるのに。」と思うこともありますが、それでも親元就農だとありがたいこともたくさんあります。
父親と一緒に作業をしていると、割と地味な作業の中にも何気なく、
「おぉ、なるほど」と思わされることがあります。
例えば鍬作業。土の中に草などが混ざっていると、刃先にまとわりついてすぐに土が掻けなくなります。1回2回のことなら手で取っても良いのですが、何十回となってくると手で取るわけにもいかない。そこでどうするかというと、鍬の刃全体を土に密着させるように押し当て、その状態のまま鍬を前方に押し出すわけです。そうすると、鍬に草がついた時のちょうど逆の動きになって草が取れます。
(鍬作業。左:刃先に草がまとわりついた状態。右:刃全体を土に押し当てて前方に押し出している様子。)
この手のノウハウは言われてみれば当たり前と思ってしまうのですが、
いざ自分ですぐに気づけるかどうかというと、なかなか難しいのではないかと思います。
今回のタイトルは「徒然草」の有名な一節で、「何事にもその道の指導者はいてほしいものである。」という意味です。もう20年ぐらい前に国語の授業でならったフレーズですが、
今になって実感させられる今日この頃です。
(タマネギの収穫。父親が茎や根を切るときにハサミを入れる回数やテンポも、作業効率を上げるためのヒントになったりします。)
吉田壮伸(よしだたけのぶ)
和歌山県 和歌山市
1981年和歌山県生まれ。大阪大学大学院基礎工学研究科修了後、大手コンサルタント会社から最新のスマホアプリを扱うベンチャーまで3社のIT関連企業で働く。実家に戻って、2016年就農。農業を体系的に知るため有機農業の学校で学んだ。