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2019.11.05

ベビーリーフ栽培にピンチ到来!~「ダイコンサルハムシ」がハウス内で大量発生。今後の対策と改善ポイント~

9月半ばにハウス内に撒いたベビーリーフのアブラナ科に、「ダイコンサルハムシ」が大量発生しました!食べられて食害がある葉や虫がついている部分をすべて刈り取りハウスの外に出しました。毎日、幼虫と成虫を見つけたらつぶすという作業を繰り返すと、害虫の個体数もかなり減って被害も落ち着いてきました。

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(ダイコンサルハムシの幼虫。近寄ると死んだふりをします)

ハウスの外回りをみると、「ダイコンサルハムシ」に限らず他の害虫を生み出してしまう要因がたくさんありました。今後どのように対策をしていくかを書きたいと思います。

① 雑草対策 - 防草シートともみ殻を活用
雑草は害虫の生息場所となります。ハウスの内外の草刈りをしていたのですが完璧にできている状態ではありませんでした。草刈り機で刈るのもかなりの労力が必要です。そこでハウスの外に1メートル幅の防草シートを敷き、内側にも防草シートもしくはもみ殻を敷き詰め、とにかく雑草をおさえるようにします。

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(枯草。これが虫の発生源と棲家になる)

② 畑の排水状態の改善 - ハウス回りに溝を掘って明渠で排水をよくする
ハウス回りの排水状態がかなり悪く、スコップで掘ろうとするとたまった泥水の中に足が入り込んで足が抜けず、作業が思うように進みません。
水がたまると湿害のため根が障害を受けて生育状態が悪くなることがあります。今年の冬にこそユンボで明渠をつくって排水を改善したいです。

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(排水状態が悪いハウスの外)

③ 防虫ネット - 防虫ネットを0.6mmにする
ハウスの両サイドに張っている防虫ネットの大きさを0.6mmにして外からの害虫が入りにくくします。1cmだと虫は入ってきてしまうそうです。

④ 不織布をする
2回目以降に撒いたアブラナ科には不織布をかけて完全に密閉しました。これでどうにか収穫まで乗り切りたいです。

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(防虫ネットと不織布で完全密閉)

⑤ 太陽熱消毒をした後はガスバーナーで焼き払う
夏はハウス内に透明のビニールシートを張って太陽熱消毒をするのですが、さらにその後ガスバーナーで焼き払うと良いと調べたら書いてあったのでやってみようかと思います。

⑥ 輪作をする - ベビーリーフに加えスナップえんどうの栽培をする
同じ種類の作物ばかり栽培すると圃場内でその作物を好む害虫の密度が高くなったり、病気が蔓延し、その作物が栽培できなくなる恐れがあります。ベビーリーフ(主にアブラナ科とキク科)に加えて、マメ科のスナップえんどうも今年からハウス内で栽培することにしました。

⑦ 天敵を利用する - アブラムシに対しての対策
アブラムシが大量発生するとこれもまた問題です。
アブラムシは小さいので0.6mmの防虫ネットでも入ってきてしまいます。そこで「ダイコンアブラバチ」を用いたバンガー法という防除方法があります。

☆バンガー法の説明
「ダイコンアブラバチ」はアブラナ科の作物に被害を与える「ニセダイコンアブラムシ」の幼虫に卵を産み付け、生まれた幼虫はアブラムシを内外から食べながら成長します。寄生されたアブラムシは死んでしまいます。「ダイコンアブラバチ」は「ニセダイコンアブラムシ」を好みますが「トウモロコシアブラムシ」にも同じように寄生します。「トウモロコシアブラムシ」はオオムギにつきますがアブラナ科植物には害を与えません。

ややこしいですね。整理すると、
オオムギに、アブラナ科に害のない「トウモロコシアブラムシ」を呼び寄せる → 害のあるアブラムシに寄生して食べてくれる「ダイコンアブラバチ」を増殖・維持させる → 害のある「ニセダイコンアブラムシ」が入ると「ダイコンアブラバチ」が攻撃する。

☆実際の方法
プランターにオオムギというイネ科の植物を植え、これに「ダイコンアブラバチ」と「トウモロコシアブラムシ」を付けハウス内に置いておきます。そうすると「ダイコンアブラバチ」がハウス内に常駐することになり「ニセダイコンアブラムシ」が侵入するとすぐにこれに卵を産み付けアブラムシの増殖を防ぎます。

これらの方法を駆使しながら害虫の被害をなくしていきたいです。

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安井千恵

安井千恵(やすいちえ)
はまちえ農園
京都府 京都市

1987年富山県生まれ京都育ち。大学卒業後、紛争・貧困地域のこどもに医療援助を行うドイツの組織でインターンシップを経験。生きる糧となる「食物」と「職」を生み出すことができる「農業」に可能性を感じ、就農を決意。帰国後、京北町に移住し、農業研修後「はまちえ農園」を開始。中山間地域で持続可能な農業経営に挑む。

写真家の眼 安井 千恵

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