2017.09.20
やめてしまった「手づくり」について思うこと
忙しい夏野菜の季節が終わり、ハーブの畑も加工場での仕事も、稲刈りと栗の収穫が始まるまでの少しの間、一段落しています。
「そういえば、今年も赤しそジュース、つくらなかったな」と思い、一念発起。先日子どもたちと一緒に、保育所がお休みの日曜日に、一年分の赤しそジュースとバジルソースをつくりました。
(出来上がった赤しそジュースとバジルソース)
これまで手づくりしてきたのに、最近はつくるのをやめてしまっていたものがいろいろあります。赤しそジュース、バジルソース、トマトソース、醤油、みりん、石けん、ツルかごなど…。
つくるのが好きで、いろいろ手づくりしていましたが、昨年の春に、加工場を建て、「早く軌道にのせないと」という気持ちで、商品化したものを効率よく生産することに専念し、必死で営業・販売をして、突っ走ってきたなあと思います。そして、つくるのをやめてしまった加工品について、今、後ろ髪をひかれるような思いでいます。
(以前は手作りしていた石けん)
加工品を販売し始めた頃の発想は「おすそわけ」という感覚でした。「たくさん野菜があるから」「たくさん柚子をもらったから」、だからそれをジャムなどに加工して、おすそわけしたい。「家族のため、身近な人たちのための手づくり」というその発想があったからこそ、美味しく安全で安心なものを届けたいという気持ちにつながっていました。
ですが、加工場を建設してからは、経営についてシビアに考えるようになり、効率が悪く仕事にならない「手づくり」は、切り捨ててきました。
今、ふと立ち止まって考えると、そんな「家族のため、身近な人たちのための加工品づくり」を切り捨ててしまったら本末転倒なのではないか、と思います。
届けたい気持ちを持続させるためにも、安全安心な美味しいものづくりの意味を忘れないためにも、効率の悪い手づくりも、また復活させていきたいなと思います。
ワークショップ形式にして取り組むというのも将来的に考えていますが、まずは子どもたちと一緒に少しずつ、月に一度でもいいから、手づくり体験、始めていこうと思います。
植田絵美(うえだえみ)
大阪府 能勢町
1982年大阪府生まれ。10代で心身を崩した経験や、大学で環境問題について学ぶ中で有機農業に惹かれ、国内外でファームステイを経験。農業研修で訪れた大阪府能勢町に移住し、結婚・出産を経て4児の母に。2013年、夫が開いた「べじたぶるぱーく」に加わり、ハーブ栽培を始めた。