2017.10.29
鳥と共に
今年初めて見つけたスズメガの幼虫。
(ナスの葉の先端に発見)
ナスの一芽切戻し(脇芽の枝からも一果収穫し、その先は切り落として、果実より下に発生した脇枝から次の実を収穫すること)の枝にいたので、そのまま枝ごと取り上げた。なんともプニプニ可愛いやつ!でも、サイズは僕の指くらい。実際手で掴むのは躊躇してしまう迫力だ。
通常このサイズで畑で見つけた時には、ナスの樹の半分の葉っぱが食べられている。「一晩で5枚ほど食べるんじゃないか!?」と言うほど大飯食らい。でも、今回初めて見つけた時には、ナスの葉っぱはピンピンしているし、周りを探しても同じ色をした兄弟芋虫もいない。
(芋虫を見つけたナスの畑)
(被害もなく元気に育ち、収穫も順調だ)
その代わりに、見つけたのが小鳥たちだった。トマトの合掌支柱の上やら、ナスのV字誘引の支柱の上に沢山とまっていた!「そうか、鳥たちの餌になったんだな」と、合点がいった。
ほんの一握りの幼虫だけが、お得意の迷彩色で生き残り、成虫となって次の子孫を残す。でもほとんどは食物連鎖の中、他の生き物の糧となるのだ。鳥と共に畑作りをしている、と思うとなんだか嬉しくなってきた。農夫の役割は畑の環境整備だと思っている。虫害、鳥害など言わず、それぞれが思い切り生きている。そんな状況が最高に気持ちいい。
そんな日は夕陽が綺麗だ。黄金色に輝く空に、大自然からのエールを受取る。
東樋口正邦(とうひぐちまさくに)
奈良県 平群町
1981年奈良県生まれ。京都大学理学部で宇宙物理学を学ぶ。高知の山下農園で3年間研修し農場長を務めた後、2015年に奈良の実家に帰って就農。妻と自分の愛称を冠した「eminini organic farm」では「畑から虹を」をモットーとしている。