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2017.09.20

土作り

僕の行う土作りは、ひとえに有機物の鋤込みに頼っている。鋤込んだ有機物を食べて元気になる微生物のお世話になっている。その方面から見れば、それだけなんだが、作物をうまく育てる、という側面から見れば、3つくらいの段階があった。

これは僕が就農したての頃、ジャガイモを植えた畑の様子。

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こちらが同じ畑の2年後の今日、雨前になんとか間に合わせた畝立後の畑。

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明らかに土質が変わっている。

これは、第一段階の土作り。
有機物を入れて耕せば、作土層(耕し作物を植える表層の土)はすぐにこうなる。

次の第二段階が、有機物を鋤込んですぐの微生物が元気なうちではなく、栽培を始めて2~6ヶ月経った頃、畑の土が依然として畝立て直後のような団粒構造(土壌の粒子がかたまり状になり、保水・排水・通気性を保った状態)を維持出来ている状態。これは、持続的に微生物の餌となる有機物が土の中にあるかどうか、だと思っている。そうなってくれてはじめて、野菜の味は心を洗ってくれるような澄んだものになった。

そして、第三段階が今の課題で、トラクターの刃が届かない深い所(硬盤層)をいかに耕し、いかに団粒化していくかということ。

深い所の攻略方法としては、
・緑肥の根っこに耕してもらう方法
・有機物を投入し続けて、いつかは上方で養った有用な菌相を下層に広げていく方法
・太陽熱養生(太陽熱を利用して土壌を改善する方法)
・サブソイラーという機械を使って、鉄の棒を土に30cm以上突き刺してそれをトラクターで引き回し深い所を引っ掻き回す方法
など様々だ。しかし、何をやるにしてもやはり現状把握が必要。

次の写真は今日畝立てした畑の写真。

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雲が多いせいで土に陰陽のコントラストが出ているのではない。畝立ては溝部分を管理機で掘り上げて行っているが、明るい部分の土は深い所まで乾燥していたため、色が明るい。

この前の作で、シシトウを作っていたが、このエリアでは青枯れのような、ただの水不足のような症状が出ていた。要は、硬盤層がまだまだ残っていて、地下水の吸い上げが出来ていない、ということだと思う。

ちなみに8月は2晩しっとり、2日間カッパのいらない小雨しか降っていない。秋作は秋雨もあるので、高畝にして作土層を厚くしてしまえば、硬盤層の影響を受けないため、このまま大根を作って、春から緑肥の根っこに頑張って頂こうと思う。

challenger

東樋口正邦

東樋口正邦(とうひぐちまさくに)
奈良県 平群町

1981年奈良県生まれ。京都大学理学部で宇宙物理学を学ぶ。高知の山下農園で3年間研修し農場長を務めた後、2015年に奈良の実家に帰って就農。妻と自分の愛称を冠した「eminini organic farm」では「畑から虹を」をモットーとしている。

写真家の眼 東樋口正邦

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