SHARE THE LOVE

2017.08.31

SHARE THE LOVE

勝手に名乗っているSHARE THE LOVE for JAPAN関西で、先日第3回自主勉強会を開催し、開拓者の大野さんの畑とうちの畑を午前午後で行き来しあった。

大野さんとの出逢いは、第1回SHARE THE LOVE for JAPAN関西参加農家勉強会@大野さん畑で、初顔合わせだった。その夜の大野さん宅での懇親会で、男泣きを見られてしまう(第6回ブログ参照)ということもあり、なんとも仲が深くなるスピードの早い人だ。

その勉強会で、通常緑肥は粉砕して鋤込むことが望ましいが、「機械の当てもなく播いたセスバニア(緑肥に使われるマメ科の植物)をどう処理したらいいか」、という質問をしていた大野さんに、「是非僕のハンマーナイフ(緑肥や草を粉砕する機械)を使ってくれ」と持ちかけた。

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(ハンマーナイフを使い、大野さんの畑で緑肥の刈り取り作業)

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(粉砕した緑肥を畑に鋤込んでいく)

大野さんの畑では、「ハンマーナイフのコツ」や、「鋤込む際の深さ調整」など実効的な話はもちろん、「緑肥の特徴」、「分解プロセス」、「腐熟期間(鋤込んだ緑肥を微生物が分解する期間)」、「太陽熱養生の効果(太陽熱を利用して土壌を改善する方法)」、「チッ素飢餓(微生物が緑肥を分解する際に、土壌のチッ素を一時的に取り込んでしまうため、作物がチッ素を吸収出来なくなる状況)の問題点」などを話し合った。

その後移動して、うちの畑では、「雑草を大量に鋤込む際に肥料投入の有無で匂いに違いが出ている畑の見学」や、「後作の人参のために有機物を鋤込まず畑から持ち出す作業=通称「はだか」(播種適期が8月までの人参の場合、新たに有機物を投入するには分解期間が足りないため、有機物を畑の外に出し素早く播種に移行する方法)」を実践したり、「多品目栽培のメリット・デメリット」、「出荷先や業者と取引する際の姿勢」など、現状の問題点や農家の在り方などの意見交換も行った。お互いに、試行錯誤しながらの現段階の考えの交換は、まさに生のデータ交換となり、本では学べない有意義な勉強会となった。

オーガニックファーマーの基本姿勢は、「人を始めとして、環境や土壌微生物にいたるまで犠牲を出さず、みんなが幸せになっていくこと」だと思っている。そこを前提にすれば、旧来の秘伝の技術や競合相手という考え方は存在しない。そう思ってやっていると、同士にも巡り会え、技術はおろか機械や出荷先までシェアしたくなる。これはそもそも、第1回勉強会冒頭で、僕の師匠のカズホさんが言っていたことでもある。
まさに「SHARE THE LOVE」だ。

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東樋口正邦

東樋口正邦(とうひぐちまさくに)
奈良県 平群町

1981年奈良県生まれ。京都大学理学部で宇宙物理学を学ぶ。高知の山下農園で3年間研修し農場長を務めた後、2015年に奈良の実家に帰って就農。妻と自分の愛称を冠した「eminini organic farm」では「畑から虹を」をモットーとしている。

写真家の眼 東樋口正邦

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