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2017.07.29

渡りに舟

就農してからというもの、まるで計画性が無くなってしまった。
あたかも馬鹿になってしまったかのように、その日に感じた必要な作業を来る日も来る日もこなしていく毎日。そして、こなしきれなかった作業が溢れていく。溢れていく作業を眺めながら家路につき、明くる朝に溢れた作業を振り返る事無く、その日に必要と感じた作業に没頭する。それでも「これでいい」という確信に揺らぎはない。

そのような作業のやり方をしていると、当然、ではないが、必然的に野菜の出荷計画を立てる時間がない。そんな滅茶苦茶にも思える畑で穫れた野菜は、生産量に呼応したような規模の個人宅配のお客様にちょうど行き渡り、余る事がなく、本当に感謝しかない。

先日キュウリが一気に穫れだした。明らかに宅配を上回る収量だ。

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(やっと少し中段になり始めたキュウリ)

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(まるで羽ばたいているようなキュウリの葉っぱ)

どうしようかと思った矢先、渡りに舟。「普段から環境や体に良いものを」と、極力オーガニックな野菜で作ったデリを販売されている近所のお店「ごはんやハレ」さんから「野菜をうちの店に置いて販売しないか?」とのお誘いを頂いた。eminini organic farmと同じ気持ちを感じるお店で、奥さんは僕と小・中学校の同級生。普段のデリにもうちの野菜を使っていただいている。有り難いご縁だ。そして、こうした状況こそ、僕の計画性のない農作業に確信を与えてくれる。

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(お世話になっている「ごはんやハレ」さんにて)

「お客様の食卓に笑顔を届けたい。」それを一心に、真剣に想うことで、必要な農作業を感じ、余念なく作業し、無駄なく受け取ってもらえる状況が出来てくる。「想えば叶う」これこそが真理だと思う。
計画通りに行かないことを不安に思うより、今に感謝し、今を楽しみ、今を生きよう。

challenger

東樋口正邦

東樋口正邦(とうひぐちまさくに)
奈良県 平群町

1981年奈良県生まれ。京都大学理学部で宇宙物理学を学ぶ。高知の山下農園で3年間研修し農場長を務めた後、2015年に奈良の実家に帰って就農。妻と自分の愛称を冠した「eminini organic farm」では「畑から虹を」をモットーとしている。

写真家の眼 東樋口正邦

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