2017.06.09
キノコニョキニョキニョッキッキ
オーガニック野菜を作るために必要な事は、一にも二にも土作りだと思っている。
特に年間60品目程作ろうと思ったら、それぞれの野菜の栽培技術を、それぞれの単品目農家くらいに習熟度をあげていく時間なんて、とてもじゃないけどない。
僕もそうだが、家庭菜園を始める前は土作りって野菜ごとに違うと思っていた。でも蓋を開けてみたら、どの野菜でもだいたい一緒だったもんで、土作りの基本を押さえる事が最も効率よい多品目栽培技術向上の道だった。
もちろん栽培方法、ミネラルバランスなど野菜ごとに習得すべき勘所は多岐に渡るが、「それよりもっと根源的な部分が土作りなんだ!」と気付いた時、花咲か爺さんにでもなった気分だった。
土作りとは、微生物のお世話のことだと思っている。
生物界の最底辺に位置する微生物相は、当然の事ながら、生き物の礎であり、肝心要の
汚染分解係でもある。
よい畑の土には億千万の微生物が住んでいる。「わぁ〜この土いいにおい〜」の匂いは微生物由来のものが大半だ。微生物に良い悪いなんてないんだが、何故か人はおいしい野菜を育む微生物のバランスを「いいにおい〜」と嗅ぎ分ける。農夫の仕事は、その微生物のバランスになるように、微生物の餌を土中に用意してあげる事。
(微生物の餌になる、出穂期以降の硬い緑肥用のソルゴー!微生物が食べやすく、分解が一気に進むように、機械で細かく裁断!10馬力でもウンウンうなるハンマーナイフモア。一回前進で倒しといてバックで裁断すると、根元が固定されるためなんとか綺麗に仕上がる!)
僕の畑では、草でも緑肥でも、繊維質で枯れる寸前のものを土に鋤込むと、いいにおいがして来て、その後の野菜の成長も順調だ。そして、その微生物のバランスになっている土には、雨の後、必ずキノコが生える。いつもキノコがニョキニョキしているのをニマニマ見てしまう。
匂いとキノコが僕の土作りの先生だ。
(水菜を収穫しているとニョッキニョキ。作物と同時に成り立つキノコたち。)
(キノコが生えると、葉色が薄くきれいな葉物に育つ)
(ジャガイモの株元にキノコがニョッキニョキ!すると収穫はムッキムキ!)
東樋口正邦(とうひぐちまさくに)
奈良県 平群町
1981年奈良県生まれ。京都大学理学部で宇宙物理学を学ぶ。高知の山下農園で3年間研修し農場長を務めた後、2015年に奈良の実家に帰って就農。妻と自分の愛称を冠した「eminini organic farm」では「畑から虹を」をモットーとしている。