SHARE THE LOVE

2019.12.16

「楽しさ」にこだわりたい理由

先日初めて直売所に登録に行き、人参の出荷を始めました。研修先でも馴染みの直売所で見知った方も多いのに、初日は普通に緊張してしまいました。自分の名前で販売するということは何度やってもドキドキします。

tanaka17-1

(直売所へ出荷用の人参)

さて、前回まで3回に分けて、新しく取り組む品目について長々と書いたのですが、今回はそれら全部を置き去りにする話です(笑)。

正直、前回まで書いた新しい品目の選び方云々は後々考えることで、実は一番の決め手は「その作物の栽培に対して心が躍るかどうか」です。確かに農業を職にしたいのなら、稼げるというベクトルで見ることは必ず必要ですが、そのことだけを優先させてしまうと、せっかく選べる立場にいるのに、自分が農業をやっている意味そのものがなくなってしまうなと思うのです。

私は趣味で絵を描くのですが、自分が、「これが好き!」と思って楽しんで描いたものは、相手の心に届く作品になることが多く、また他の方の絵を見ていても「この人これ描く時すごく楽しかったんだろうなあ」ということが伝わってくる作品は、上手下手に関わらずその人にしか出せない魅力を感じます。

私が品目を選ぶとき、「楽しさを持って取り組めるもの」にこだわりたい理由はここです。品目に限らず栽培方法なども一緒です。直売所に出荷するようになって「売れる楽しさ」というものも最近知りました。人に求められ、喜ばれるものというのは栽培するのも楽しいです。そして、「人に喜ばれる仕事」と「楽しさを持って取り組める仕事」というのは最終的にはイコールになっていくのではないかと思います。
また、楽しさにこだわるというのは、辛い仕事を投げ出すという話ではなく、「どうやったら自分が楽しめるのか」を考えて、工夫をしていくということです。楽しければ続けられます。それは私の目指す農業にとって、とても大切なことです。

challenger

田中真由美

田中真由美(たなかまゆみ)
くさおか農園
滋賀県 長浜市

1994年滋賀県生まれ。40年前から、化学肥料不使用で「人に喜ばれる米作り」を行なっている祖父の姿に憧れ、2017年に兼業農家として就農。土地を守りながら地域の中に「当たり前に存在し続ける農家」を目指し、2019年からは専業農家として、祖父に米作りを学びながら、豊かな水を活用した作物栽培にも挑戦する。

写真家の眼 田中 真由美

過去の記事を読む

2019 挑戦者

BACK TO TOP