2019.11.17
品目を増やすということについて(2)「マコモダケ」栽培の話
前回のブログで話した「マコモダケ」ですが、今回は栽培について書いていきたいと思います。
トラクターも入れないような深田に、何か植えるものはないかと、父がどこからか苗を仕入れて植え始めたのが「マコモダケ」栽培のきっかけでした。その後なかなか良い作物だということに気が付き、庭先にて遊びで栽培していたものを、少し面積を増やし、初めてきちんとした栽培を実施することにした、という流れで今年の「マコモダケ」栽培は始まりました。
縁をもらって「マコモダケ」栽培をする場となった田は、全面トラクターが入るには厳しい状況。代掻きができない状態で草をどうするか、苗はどうやって採ってどうやって植え替えるのか、どのタイミングで肥料をやればいいのか、水管理はどうするのか、葉かきをするらしいがこれで合っているのか、等々わからないことのオンパレードでした。
とはいえ「マコモダケ」はイネ科。稲作をベースに栽培することができ、また作物本来の強さに加え、多少の無茶をしても豊富な水と肥沃な土質に助けられて、モノとしては良いものを収穫することが出来たと思います。
どちらかといえば問題は収量の方でした。今回栽培した圃場では「マコモダケ」のならない株が全体の半分近くありました。「マコモダケ」は、できる株にはとことんできますができない株には1本もなりません。これは前年度に優良株の選定ができていなかった為に起こったことでした。そのため、この秋は収穫後優良株の選定を行い、来年に向けて株を確保する算段をつけています。株の掘り起こしはまだしていないのですが、「おそらくこれが『マコモダケ』栽培の中で一番の重労働になるのだろうな…」と今から覚悟しています。
最後に写真にて栽培の様子をご覧いただきながら、私がじたばたしている様子をご覧いただけたらと思います。
(植え付けのタイミングが遅れ伸びすぎている苗。さらに植え付けまで日が空いてしまいシナシナの状態で植え付けるという、「マコモダケ」をいじめにいじめ抜いたハードモードからのスタート)
(借り受けた放棄地だった田に、初期除草だけ行い不耕起のまま手で植え付けました。異様な光景になり笑いを誘います)
(夏。「マコモダケ」は力強く生長し、その生命力に感動。同時に雑草の繁殖力にも感動。このあたりから水田除草機アイガモンを使い始めました。上機嫌で使っていましたが段々しんどくなり、最終的に普通の草刈り機で刈った方が早いとの結論に達しました)
(秋。収穫目前)
(水の多いところは「マコモダケ」の生育も良かったのですが、ここのように大きすぎる株には「マコモダケ」はなりませんでした)
(逆に小さめの株の方が「マコモダケ」のなりがよかったです。今年は前年より実のなる時期が遅れていたため、失敗したのだろうかと心配しましたが、無事収穫できホッとしました)
新しく品目を増やすとき、私にはベースとなる知識や経験が乏しい為、初歩の初歩のようなことがわからず、このような感じで非常にまごつきながらやっていることがまだまだ多いです。
田中真由美(たなかまゆみ)
くさおか農園
滋賀県 長浜市
1994年滋賀県生まれ。40年前から、化学肥料不使用で「人に喜ばれる米作り」を行なっている祖父の姿に憧れ、2017年に兼業農家として就農。土地を守りながら地域の中に「当たり前に存在し続ける農家」を目指し、2019年からは専業農家として、祖父に米作りを学びながら、豊かな水を活用した作物栽培にも挑戦する。