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2019.05.17

何を変えて、何を変えないのか

今年の苗作りは、播種日を3日遅らせ、逆に芽出し機から出すタイミングは早め、苗代での水管理の方法を変え…等々、省力化と植物の生育との兼ね合いを自分なりに考えながら、細々とした部分ですが色々と昨年とやり方を変えたので、ドキドキしながら苗の様子を見ています。

観察するのにはスケッチが良いと勧められたので、実際にやってみているのですが、「え、こんな風に育ってたの??」と思うことばかりで、去年の自分がどれほど植物を見れていなかったかを痛感しています。

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(芽出し機で育苗中の苗)

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(苗を芽出し機から出して水苗代へ)

芽出し機から苗を出すタイミングについて、
通常の伸ばし方をすると、芽出し機の中で下の育苗箱に根が刺さり、刺さった個所の土が抜けてしまうことがあったので、今年は試しに芽出しを控えた状態で出しました。
絡んだ根を剥がす作業がいらなくなったので苗出しは非常にスムーズになりました。

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(ラブシート(育苗用被覆材)の中で緑化し始めた苗はまだかなり寂し気。田植えまでには揃う予定です…)

「何を変えて、何を変えないのか」今は、試行錯誤の最中です。
これまで私の家は、専業で農業をしていたわけではなく、他に仕事を持ちながら、土地を守るために兼業で農業を営んでいました。なので、必ずしも利益を追求する必要がなく、「欲しがられる分だけを作り、お客さんが喜んでくれて、収支がトントンになるならいいだろう」というスタンスで農業をすることができました。

それはそれとして、一つの理想的な農業の形だと思います。けれど、私は職業として農業に携わっていきたいという思いがあるので、そのためにはきちんと利益を出して生計を立てていく必要があります。
祖父の農業と私の農業で一番大きく変わっていくのはこの部分になるだろうと思います。

「人に喜ばれる仕事をする」という考えは祖父と同様に軸に持ちながらも、作業効率や経費のかけ方、面積や、栽培品目等…。自分が実現したい目標のために、変えていかなければいけないところは変えていく。その取捨選択が、今はとても難しく感じていますが、とにかく今年は、毎日のやるべきことをきちんとやって、経験を増やしていこうと思って動いています。

challenger

田中真由美

田中真由美(たなかまゆみ)
くさおか農園
滋賀県 長浜市

1994年滋賀県生まれ。40年前から、化学肥料不使用で「人に喜ばれる米作り」を行なっている祖父の姿に憧れ、2017年に兼業農家として就農。土地を守りながら地域の中に「当たり前に存在し続ける農家」を目指し、2019年からは専業農家として、祖父に米作りを学びながら、豊かな水を活用した作物栽培にも挑戦する。

写真家の眼 田中 真由美

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