SHARE THE LOVE

2022.12.22

行うは易し、信ずるは難し

クリスマスも迫り、北海道はすっかり雪と冷気に包まれ、畑に行く機会はなくなりましたが、薪にする木を運んだり、家で豆の選別や野菜の種とり、稲藁で草鞋を編んだり、暮らしのためにやることはつきません。冬は醤油の仕込みや搾りのシーズン。搾りのための槽(ふね)という道具から手づくりする計画ですが、木材の加工で難しいところは友人の家具作家さんにお願いしています。

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(醤油づくりを教わった秋田県の石孫本店にある槽。このミニチュア版をつくりたい)

いよいよ最後のブログということで、SHARE THE LOVE for JAPANに関わらせてもらった一年、また農家として独立してはじめてのシーズンを振り返ってみたいと思います。実感としてはまだこれからが醤油づくり本番であり、年明けからの予定も続々とできているので、まだまだ真っ最中という感じがしていますが、今年は自分が思い描いていた農と暮らしのあり方を実践するはじめての機会であり、期待と同じだけの不安を胸に歩んできた一年でした。

農薬や肥料、機械の力ではなく、あくまで作物と土地の持つ本来の力をたよりに行う農業は、いままで自分が身を置いていた大規模な工業的農業の抱えるあらゆる矛盾を解消するよい方法だと確信していましたが、はじめての実践なので経営的にうまくゆく保障はなく、おそらくそういった不安こそが、ほかの有機や自然栽培をしたいと思いながらも足踏みしてしまっている人たちが抱いている問題の核にあるような気がします。

でも実はいちばんシンプルな解決方法というのは、そういった不安や恐怖に任せるのではなく、安心と信頼のなかにその身を委ねること。不安なときいつも自分に言い聞かせる言葉が「行うは易し、信ずるは難し」ということです。

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(前回の醤油麹仕込みの様子)

もちろんうまくいかなかったり、失敗もありますが、なにかを行うときにそれはつきもの。そんなときでもまわりを見渡せば世界は自然のもたらす恵みにあふれています。「北の国から」黒板吾郎の「自然は食べていけるだけの恵みはもたらしてくれるから安心しろ」といった内容の手紙が友人宅のトイレに貼られていて、その言葉に感動したことがあるのですが、そのような精神性と信頼を自然に対して持つことこそがこの世界で生きていくために大切なことだと思います。

そしてそうした信頼感のなかに身を置くことで素敵な仲間や風景との出会いがあり、魂が共鳴するような美しい瞬間がうまれたりするのだと、そうした瞬間を積み重ねることに人生の醍醐味があるんじゃないかと思ったりしているのです。


終わりに、このSHARE THE LOVE for JAPANとの出会いによって、ただ北海道で農業をしていたら経験できなかった機会に恵まれることができました。声をかけてくださった先輩農家の牧野萌さんやスタッフの方々、同じく今年の挑戦者としてよい刺激やインスピレーションを与えてくださった奥薗さん澤村さんに感謝申し上げます。

来年以降も引き続き、虫や微生物や動植物に学びながら、ひとの暮らしと自然といのちの営みのしあわせな関係性を模索してゆきたいと思います。どうぞよろしくお願いします!!


農と蔵たなどぅい
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玉城聡将

玉城聡将(たまきあきまさ)
農と蔵 たなどぅい
北海道 長沼町

1992年愛知県生まれ。和の料理人を経て、義父が営農する北海道へ居を移す。2022年4月、「農と蔵 たなどぅい」を開業。夏は野菜を育て、冬は蔵人として醤油を仕込む。土壌や微生物、小動物相を豊かにすることで、植物が持つ本来の生命力を発揮できる手助けをし、「種取り」をすることで栽培種の多様性保全も視野に入れる。「常に自然を師匠として学び、授かったものは与えるためにある」という信念の下、「土地に仕える者」として仕事に取り組む。

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