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2022.11.25

続・川は生きている

なんと11月半ばになっても気温がなかなか下がらず、樹々が葉を落とすタイミングもまるでバラバラ、来年の発酵温床用の落ち葉を神社に集めに行くタイミングを決めかねています。北海道に住んで6年、毎年気候が大きく変化しているのを肌で感じています。

さて、8月のブログで取り上げた川の護岸工事の件について、あれから思考の通奏低音のように日々ピンネ川のことを考えながら過ごしています。そこで冬前の仕事に目処が立ってきたある日、思いついてピンネを可能なかぎりさかのぼってみようと、畑から徒歩で水源地めざして散策に出かけました。

環境再生医、矢野智徳さんから学んだことを反芻するように川沿いを歩いて行くと、自然の営みと人の営みが混じりあい、せめぎあいながらつくりだしてきた地形が現在進行形でたどりつつある歴史を垣間見ている感覚と、やはり人は自然の営みのなかに自己の存在を発見し、和解する方法をさがす必要があるのだと思いました。

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(水と空気の循環の滞りを示すサビ色をした水と、土地のヤブ化)

その道のりから思いもよらず興味深い発見があったのですが、それはピンネ川の最上流部は墓地となっていて、そこはアイヌ語で「いにしえの」といった意味があるフシコという地名で、周囲には樹齢200〜300年はありそうな太いミズナラ(ドングリの木)が幾本も生えていて、アイヌモシリ(アイヌの大地)の時代からその場が先祖が眠る、水源の地として大切にされていたことをものがたっている、そうした面影が辛うじて残る土地だったということでした。

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(上流のコンクリート護岸されていない場所の水は比較的澄んでいる。前の写真の場所からわずか道路一本隔てた場所)

補足としてですが、北海道には知床のような雄大な自然がたくさん残っていると思われがちですが、ほとんどの山々は開拓以降、特に第二次世界大戦後の資源不足やその後の炭鉱ラッシュ、経済発展などの理由により巨木のほとんどが切られ、現在の森は樹齢50〜60年ほどのまだまだ成長過程にある樹々によって構成されている若い森です。

日本の国土の約7割が森林で、日本に住む人の暮らしはこの森林によって支えられていると言え、農業もまた森との関わりをより深く見つめていく必要があります。

日本人の心の拠り所である水田は豊かな水をたたえる山や森があってこそ。そしてその田畑から川を通して海へ、海からはまた雨として大地や大気を潤し、サケやマスが山奥まで海のミネラルを届ける、この壮大な生命のサイクルが滞りなく、汚れることなくめぐることができるように、日々の暮らしを見つめ直すことの大切さ、そしてそのように暮らすことで得られる安心感をより多くの人が感じられるよう、小さな畑や醤油もろみの入った樽の中から働きかけていこうと思ったのでした。


農と蔵たなどぅい
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玉城聡将

玉城聡将(たまきあきまさ)
農と蔵 たなどぅい
北海道 長沼町

1992年愛知県生まれ。和の料理人を経て、義父が営農する北海道へ居を移す。2022年4月、「農と蔵 たなどぅい」を開業。夏は野菜を育て、冬は蔵人として醤油を仕込む。土壌や微生物、小動物相を豊かにすることで、植物が持つ本来の生命力を発揮できる手助けをし、「種取り」をすることで栽培種の多様性保全も視野に入れる。「常に自然を師匠として学び、授かったものは与えるためにある」という信念の下、「土地に仕える者」として仕事に取り組む。

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