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2022.11.09

できないという革命

いつもなら10月が鮮やかな紅葉が見られるシーズンだったのですが、今年はそれぞれの樹種がバラバラなタイミングで葉を色づけたり落としたり、気温も急に冷え込んだり温かくなったりで、植物も少し戸惑っているのかもしれません。北海道長沼町では最低気温がマイナスの日が3日ほど続き、カブや大根などの根菜類がぐっと甘みを増してきました。

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そろそろ雪に備えて畑じまいのことも考える時期ですが、当面は大豆や小豆の収穫&脱穀、唐箕などの仕事がたくさん。夫婦2人、手作業でおこなうので時間はかかりますが、外国から援農に来てくれたご夫婦や、八百屋さんのイベントなどでたくさんの方が手伝ってくれたり、畑仕事を通していろんなことを感じとってくれる機会にも恵まれて、にぎやかな日々を送っています。

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手作業でやっていると、日々いろいろな“できない”に遭遇します。“よりはやく”、“より大きく“、”よりたくさん“これらを求めてきた社会に生まれ育った僕たちにとって、この”できない“ということは立ちはだかる大きな壁に感じられます。でも、翻って考えてみると、人ができない領域にはいつも動植物や微生物の営みの領域があって、そこを慮ってみると自分ができないことがかえってそれらの領域を守ることにもつながるように感じます。

それは冬のあいだに醤油や味噌を仕込んで、次の冬に美味しく熟成されるまでのあいだに人がやるべきことが少ないことにも通じることで、僕は人間が仕事において担うべき領域というのはせいぜい3分の1だと思っています。そして残りの3分の1ずつがその土地や地球の自然環境の持つ力と、作物の持つ生命力や素材の持つ力。もし人の領域を残りの3分の2のところまで拡げようとすると、かえってバランスを崩してしまう。ここに開発や技術革新の名のもとに今まで文明が加速させてきてしまった問題の根が潜んでいるような気がします。

終わりに大好きな内田ボブさんの歌、「小さなトマト」の歌詞から引用させていただきたいです。

小さなトマトで 小さな玉ねぎ
小さな野菜で 小さな畑で
それで十分なのに それで十分なのに
それなのになぜ それなのになぜ
人は貧しいの 人は貧しいの

頑張って働けば 山が死んでゆく
頑張って働けば 川が死んでゆく
頑張って働いても 失うばかりなのに
それなのになぜ それなのになぜ
人は頑張るの 人は頑張るの


農と蔵たなどぅい
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玉城聡将

玉城聡将(たまきあきまさ)
農と蔵 たなどぅい
北海道 長沼町

1992年愛知県生まれ。和の料理人を経て、義父が営農する北海道へ居を移す。2022年4月、「農と蔵 たなどぅい」を開業。夏は野菜を育て、冬は蔵人として醤油を仕込む。土壌や微生物、小動物相を豊かにすることで、植物が持つ本来の生命力を発揮できる手助けをし、「種取り」をすることで栽培種の多様性保全も視野に入れる。「常に自然を師匠として学び、授かったものは与えるためにある」という信念の下、「土地に仕える者」として仕事に取り組む。

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