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2022.10.11

遊ぶのが仕事

そろそろ冬を迎える準備も視野に入れながら、稲や大豆の刈り取りの忙しさのなかにも、少し寂しさの混じる10月になりました。

今年は友達家族と共に、3畝という小面積ながら、手植え、手除草、手刈りで稲を育てることにも挑戦しています。同じ田んぼには他にも30人くらいの人たちが、それぞれの思いを抱きながらお米づくりに取り組んでいて、田んぼは毎日お祭りのような活気に満ちています。

北海道は明治期の移民政策でできただけあって、稲の干し方にもそれぞれのルーツが自ずと表れてくるので、その風景はまるで博覧会のよう。その人のアイデンティティやルーツへの誇りのようなものさえ感じさせ、しかもバラバラでありながら調和しているという不思議な空間は、もはや風物詩となっています。

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腰を曲げ、鎌を片手に稲を刈り、藁で結わえて稲架木にかけて干す。この一連の流れがリズムを生み出し、ああ、自然と調和している。との実感が湧いてきます。耳障りな機械音のない仕事は心に安らぎを与え、疲れも心地よいとすら感じさせてくれます。大人も子供も同じ空間と時間を分かち合いながら、体を動かしながら何気ない会話に笑顔が溢れます。

本来、労働、仕事というのはそのようにして、自分が自分に戻れるための場所であり、時に没頭し、時には慈しむことができる時間のことであると思うのです。そこには「お金」や「自由な時間」を手にするための対価として支払うべき犠牲という価値観は全く当てはまらない、そういった意味では「仕事」とは言い換えれば「遊び」、「学び」であり「アート」なのだと思います。


農と蔵たなどぅい
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玉城聡将

玉城聡将(たまきあきまさ)
農と蔵 たなどぅい
北海道 長沼町

1992年愛知県生まれ。和の料理人を経て、義父が営農する北海道へ居を移す。2022年4月、「農と蔵 たなどぅい」を開業。夏は野菜を育て、冬は蔵人として醤油を仕込む。土壌や微生物、小動物相を豊かにすることで、植物が持つ本来の生命力を発揮できる手助けをし、「種取り」をすることで栽培種の多様性保全も視野に入れる。「常に自然を師匠として学び、授かったものは与えるためにある」という信念の下、「土地に仕える者」として仕事に取り組む。

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