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2022.09.27

人と野生動物の距離感

気がつけば9月も半ば過ぎ、夏野菜や、今年奮闘してくれたトマトもそろそろおしまいが近づいて、少し淋しさも感じます。

先週にかけて過ぎ去っていった温帯低気圧は収穫を控えていた稲を次々になぎ倒してゆき、周囲の田んぼでは痛々しい姿がたくさん目につきます。そんな中でも仲間と手植えした自然栽培の稲は力強い立ち姿で、慣行栽培の田んぼに囲われたなかで一際輝いて見えます。周囲の農家さんもこの姿を見てきっと何か感じているのではないでしょうか。週末に控えた稲刈りが楽しみです。

さて、今年から譲り受けたブルーベリー畑、もう実はすっかり落ちましたが、最後に残っていた実を摘んでいると、大きなスズメバチが十数匹、一生懸命にブルーベリーの木から木へ移ってはその実を啄んでいます。

はじめは少し怖く感じましたが、向こう(スズメバチ)は近くにいる人間のことなど気にもとめず、いたって平気な様子。羽音もあの背筋がゾクっとするような音ではなく穏やかささえ感じられるほどで、僕たちに染み付いている、獰猛で危険な生き物というイメージが、彼らの一面に過ぎなかったことを思い知らされます。

というのも、この畑の世話をしていた先代が元気だった昨年に訪れた際、機械をしまっている納屋の出入り口の真上にはスズメバチの巨大な巣が。互いに全く気にしない様子で出入りしていたのでとても驚いたことがあります。

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(写真では見づらいがトラクターの右上、ハウスの骨組みの頂点にぶら下がる卵形の巣)

実は人里近くに暮らす野生動物は、こちらが思っている以上に、人間がその土地環境にとってどのような存在なのかをよく観察しているのかもしれません。宮沢賢治「なめとこ山の熊」、新美南吉「ごんぎつね」のように、人と野生動物が同列で語られる物語は世界の先住民族から見ればスタンダードで、現代の僕たちが失いつつある感覚なのかもしれません。

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(もう空き家になっているこの巣は今回の強風で落ちてしまった)


農と蔵たなどぅい
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玉城聡将

玉城聡将(たまきあきまさ)
農と蔵 たなどぅい
北海道 長沼町

1992年愛知県生まれ。和の料理人を経て、義父が営農する北海道へ居を移す。2022年4月、「農と蔵 たなどぅい」を開業。夏は野菜を育て、冬は蔵人として醤油を仕込む。土壌や微生物、小動物相を豊かにすることで、植物が持つ本来の生命力を発揮できる手助けをし、「種取り」をすることで栽培種の多様性保全も視野に入れる。「常に自然を師匠として学び、授かったものは与えるためにある」という信念の下、「土地に仕える者」として仕事に取り組む。

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