2022.08.17
原点への旅路
小麦の収穫には絶好のカラリと晴れた日が続いた7月下旬、友人たちに手伝ってもらって結(ゆい)作業での古代小麦の刈り取り、ハサ掛けを行いました。暑さも吹き飛びそうな、気持ちの良い農の原風景が目の前であれよあれよという間に出来上がってゆく様に、自然と顔もからだもほころんで、この先祖から続く風景の中に自分たちもまたこうして存在できることの喜びを噛みしめていました。
そして8月頭には関西での、川越俊作さんによる自然栽培の講習会。重要な仕事に一区切りつけられたことで、心置きなく北海道を発つことができました。久しぶりの本州の夏、北海道も年々暑くなってきているとはいえ、特に夕方でも気温が下がらないことや、見学した畑の土を触ってみるとやはり温度が北海道とは比較にならないくらい熱いことなど、気候条件の違いを身にしみて感じました。
川越さんのお話からは、単に技術的なお話にとどまらない自然に対するまなざしが感じられて、言葉の端々から歩んでこられた道のりの険しさを知っているからこその優しさを感じました。また、他の参加者のみなさんとの交流からも深い話がたくさんできて、良い出会いに巡り会えたことに感謝しています。
普段は全然違う気候風土のなかで土と向き合う百姓が、こうして別の土地に集まって語り合う機会もなかなかないので、この新鮮な風を北海道の畑に持ち帰ってこれからどんな変化が起こるのかが楽しみになりました。
農と蔵たなどぅい
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玉城聡将(たまきあきまさ)
農と蔵 たなどぅい
北海道 長沼町
1992年愛知県生まれ。和の料理人を経て、義父が営農する北海道へ居を移す。2022年4月、「農と蔵 たなどぅい」を開業。夏は野菜を育て、冬は蔵人として醤油を仕込む。土壌や微生物、小動物相を豊かにすることで、植物が持つ本来の生命力を発揮できる手助けをし、「種取り」をすることで栽培種の多様性保全も視野に入れる。「常に自然を師匠として学び、授かったものは与えるためにある」という信念の下、「土地に仕える者」として仕事に取り組む。