2016.10.17
補助金のこと
こんにちは。滋賀県高島市 みのり農園 高橋です。
いつも新規就農してからのお話ですが、今回はよく話題にのぼる、
「補助金を農家がもらうこと」について、私の考えを書きたいと思います。
「日本の農家は補助金漬けだ」
「補助金をもらうことばかり考えているから日本の農家は競争力がない」
といった否定的な意見を持つ方が多く、
まるで補助金をもらうことが悪だというような風潮があります。
「うちは補助金をもらっていません」というのが一つの売り文句になっていたりします。
はっきり言って、私は補助金をもらうことに抵抗がありません。
補助金があることにより、早く投資ができて、成長を加速させることができるからです。
今、日本の農業は高齢化がどんどん進んでいます。
平成27年の統計では、基幹的農業従事者の平均年齢は67.0歳。
あと20年もすれば、農業人口は半減するのではないかと思います。
農業者が減っても、野菜やお米の生産ができるよう、経営力のある強い農家を育てていき、
生産性を維持したい、というのが補助金の考え方だと思います。
補助金をもらって終わりではなく、補助金をもらった農家は生産効率を上げ、
生産面積を拡大していく必要があります。
私は、補助金ではなく、青年就農給付金(経営型)の給付を受けています。
これは、新規就農時の一番お金がない時期に資金を給付してもらうことにより、
5年以内に自立できる農家になることが目的です。
もちろん数年で十分な所得が稼げれば、そこで給付金は打ち切りとなります。
正直、就農一年目は自己資金も底をつきそうになり、金銭的に厳しい年だったのですが、
就農1年目の終わりくらいに青年就農給付金をいただけることになり、
アルバイトをしなくてすみました。
新規就農者の中には、アルバイトをしながら生計をたてようとする方も多いのですが、
1日の時間は有限です。アルバイトをする時間があれば、畑に注力した方が、
自立できるまでの期間は短くなります。「補助金などの公的資金を使用すること=悪」、
という風潮にならないようになれば良いと願います。
高橋佳奈(たかはしかな)
滋賀県 高島市
1979年 滋賀県生まれ。東京でベンチャーキャピタル系の企業に勤務。その企業が立ち上げた農業法人で3年間農業に従事した後、料理人だった夫とともに就農を決意。郷里に近い滋賀県内にて2013年に就農、『みのり農園』をスタート。現在は、収穫したばかりの野菜を提供するレストランのオープンに向けても奮闘中。『農業女子プロジェクト』にも参加し、若手農家との連携も図っている。