2022.11.29
不思議な不思議なキノコ
私の中で最近読んだキノコの歴史がとても面白かったのでご紹介させていただきます。
キノコ(白色腐朽菌)が地球上に誕生したのはペルム紀(約2億9000万年前~約2億5000万年前)で、それ以前は石炭紀と呼ばれ、巨大なシダ植物や大型昆虫が飛び交う、さながらナウシカの世界観だったと言われているようです。ペルム紀以前は地上の酸素濃度がどんどん上昇していって、石炭紀の終わりに氷河期を迎えています。恐竜時代の終わりですね。
石炭紀は、名前の通り石炭が大量に生成された時代と思われます。この時代には、まだリグニン(木材を構成する主な成分の一つ)を分解できる白色腐朽菌のキノコがいなかったため、枯れ木などが分解されずにそのまま堆積して石炭化していったようです。
植物は二酸化炭素と水を使って光合成をして酸素を放出し自分の体を作っていますが、キノコは枯れ木などを分解し、水と二酸化炭素に戻しているようです。石炭紀では、巨大なシダ植物の繁茂によって二酸化炭素濃度が低下し寒冷化が進み氷河期を迎えているのですが、数百万年にも渡る氷河期の間に誰かが頭を冷やして考えたのかどうかわかりませんが、キノコが誕生し大気のバランスが保たれるようになったのでしょうね。新米農家としましては「二酸化炭素と水を供給してくれるなんてキノコすごい」と思いました(単純)。
「土中環境」と言う本によりますと、団粒構造を保つのも菌糸の役割ですし、それは菌糸に粘り気があって接着剤のように土をまとめるからなのですが、小動物が土中で作る穴や通り道などを崩さないようにもしているそうです。また、その構造によって地下水を吸い上げたり、いらない分は落としたり、木々の意思疎通にも菌糸のネットワークが使われているとか。
まさに森の健康を司るような存在で、私が個人的に思うのは土が(多分キノコが)目指しているものって原生林なのかなと。私は白神山地に行ったことがあるのですが、原生林は下草も生えていましたし、間伐が必要には見えなかったのです。人の手の入った山々からは食べ物がなくて動物たちが下りてきていますが、自然のままの原生林はいろんな生き物が豊かに暮らせる場所なんだろうと思うのです。植物同士を繋ぎ、動物の穴も崩れないように支え、豊かな森へ誘うキノコって不思議ですね。
(地元で開催している「自然栽培青空市」も三回目を数えましたが、天気の影響もあって閑古鳥に近い状態です(^^;))
(頂き物の種なのですが、何の種かわかりません。ツヤツヤでツルツルです。黒小豆にとても似ているので黒小豆と思うことにしました)
メへへ農園
HP https://gobacknature.com
澤村悠行(さわむらゆうこう)
メヘヘ農園
石川県 羽咋市
1978年千葉県生まれ。幼少期、祖父母の暮らす岩手で目にした、動植物が織りなす彩り豊かな原風景を忘れられず、「奇跡のリンゴ」で知られる木村秋則氏の自然農法に触れたことを契機に本格的に就農を決意。移住先の羽咋市で自然栽培を学んだ後、2022年4月「メヘヘ農園」を開業。無農薬や化学肥料不使用を前提条件として、野菜や米の収量を高める道を探索する。将来的には、動物、植物、人間が共存し、化学反応が起きる空間づくりを目指している。