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2022.10.15

無農薬無肥料栽培での新規就農のリアル

台風の被害もそれほどなかった石川県ですが、私だけでしょうか、秋冬野菜の虫の被害が尋常ではありません。白菜、30m壊滅。追加で植えた白菜30mもまた壊滅。大根もキャベツもブロッコリーもどんどん消えていきます。食べにくる虫は多様です。ダイコンサルハムシや青虫やハスモンヨトウやダンゴムシや名前のわからない毛虫まで。日々忙しいので紛れていますが、立ち止まったらやめたくなりそうなくらいにはきついです。

就農すると収入がゼロになって保険料などが全部自己負担になって襲ってきます。それで無名のところからベテラン農家さんの野菜がいっぱい並ぶところで販売してかなきゃならないのです。生活保障をする補助金は甘えとなるからいらないという声も聞こえますが、余裕資金を貯められるような賢明な方は農家なんてやらないと思います。何故なら儲からないからです。もちろんしっかりと利益を出している賢明な農家さんもおられるのでしょう。この厳しい状況下で利益を出すには安定した技術力と作業の効率化は必須な気がします。無農薬で安定した技術力って相当なことだと思います。

暗い話はこれくらいにしまして、私は若い頃、リアルって何だろうって本気で考えていました。何をしてもどこか空しい、生きているのに生きるって何だ?って思ったり、長くなりそうなので省略しますが、農家はいろんな面で綱渡りでして、生きている感じがするというか、空しいと感じている暇がないです。危機を感じながら渡れた時の達成感、忙しいさなかにふと目に入る植物の美しい横顔、野菜一つの重量感などを肌で感じるリアルな毎日です。

sawamura13-1

(自然栽培米の稲刈りがいよいよスタートしました)

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(自分で耕してならして植えて管理してピンチの時には水を川から運んだお米)


メへへ農園
HP https://gobacknature.com

challenger

澤村悠行

澤村悠行(さわむらゆうこう)
メヘヘ農園
石川県 羽咋市

1978年千葉県生まれ。幼少期、祖父母の暮らす岩手で目にした、動植物が織りなす彩り豊かな原風景を忘れられず、「奇跡のリンゴ」で知られる木村秋則氏の自然農法に触れたことを契機に本格的に就農を決意。移住先の羽咋市で自然栽培を学んだ後、2022年4月「メヘヘ農園」を開業。無農薬や化学肥料不使用を前提条件として、野菜や米の収量を高める道を探索する。将来的には、動物、植物、人間が共存し、化学反応が起きる空間づくりを目指している。

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