SHARE THE LOVE

2018.04.27

踏み込み温床

今年も始まった踏み込み温床づくり。
まだ2回目ですが、これを造り始めると1年の始まりを感じます。

苗を育てるための温床には、
床土に電熱線を埋め込み、電気により熱を得る「電熱温床」と、
落ち葉や米ヌカなどを踏み込み、その発酵熱を利用する「踏み込み温床」があります。

私の場合は、竹とワラで温床を組む、「踏み込み温床」です。
竹は、近くの竹林で間引いて切ってきます。
間引きをすることで竹林に光が入るので、竹林整備にとっても良いことです。

ワラは、去年の稲作で出たワラです。それを組んで温床枠を造ります。
そこへ、軽トラを山盛りにするほど何杯も集めてきた落ち葉と米ヌカ、
地域の捨てられる食物の残渣などを入れて、踏み込みます。

この「踏み込み温床」は、育苗後も全てにおいて無駄がないです。
踏んだ落ち葉とワラは翌年の苗づくりの床土になるし、
竹は割って畑の名札などにも使えます。
何より電力の使用をなるべく減らすことができます。

ただ、とても手間が掛かります。1月に落ち葉を集めに行くのですが、
独りで集めていると、年初めの『心折れそう感』を感じます。
また、踏み込み時の水分の加減が難しく、温度の確保が難しいのです。
去年は、温度が持続してあまり上がらず、ここでも『心折れそう感』を感じました。
でも今年は、うまく温度も確保されているようです。

この小さな温床は、循環する農業を集約したかのような装置で、
本当に素晴らしいと思っています。私は基本的に楽をしたいです。
家族との時間をいかにたくさん作れるかを、いつも考えています。
しかし、いくら『心折れそう感』を感じてもこの温床はこれからもずっと造っていきたいです。

oshima2-1

(完成した「踏み込み温床」)

challenger

大島和行

大島和行(おおしまかずゆき)
栃木県 塩谷町

1981年栃木県生まれ。文化服装学院卒業後、花の生産農家、ディズニーランドの造園などの仕事につく。インド旅行ではマザーテレサの施設でボランティアも経験。有機農家での1年の研修を経て、2017年、故郷の栃木県塩谷町で「大島農園」を開く。約50品目の野菜と米を作る。

写真家の眼 大島 和行

過去の記事を読む

BACK TO TOP