2023.04.14
気候とワインと産業と
岩手県陸前高田市のワイナリー「ドメーヌミカヅキ」代表、一般社団法人日本ソムリエ協会ソムリエ、栽培家、醸造家です。
2011年3月、高校2年生の時に東日本大震災を経験しました。大津波を目の当たりにし、残された自分が生きる意味は何かを問い「10年後に地元に戻り、陸前高田のまちづくりの産業の担い手になる」と決意。食に関するものが地域の産業につながるだろうと、幅広く食を学べる学部に進学。大学2年の時、ソムリエ講座の授業の中でワインと出会いました。
醸造、法律、テロワール(味や性質を左右するブドウ畑の土壌や気候、職人の技術などとりまく環境のこと)理論を学ぶうちに、陸前高田でのワイン産業に可能性を感じ、ワイナリー創業を決意。大学卒業後はワインの専門商社に入社し営業と経営の経験を積み、退社後にスイスやアメリカなどを訪れたのち、フランスのアルザス地方のワイナリーに住み込みで醸造に関わりました。
2020年に陸前高田へ帰郷後、果樹を植えるための畑探しから開始。親戚のリンゴ園を借り受けつつ、使われなくなっていた畑を所有者と交渉し借り、畑として使えるように一人で開墾。土地を耕すのに1年かけ、翌年にリンゴとブドウを植樹しました。ブドウ果実が実る2024年を目標に、自家醸造施設をつくる予定で準備中です。
現在はブドウ畑0.8ha、リンゴ畑0.7haで栽培中。2022年には酒飯免許を取得し、陸前高田の自家農園のリンゴを使用し、他ワイナリーの設備を借りて自ら醸造した「シードル」を発売開始しました。
ワイナリー「ドメーヌミカヅキ」では、日本初「アルバリーニョ」(白ワイン用ブドウ品種)のみを栽培。リアス海岸の由来となったスペイン・ガリシア地方リアスバイシャスの原産品種でもあり、テロワールも似ている陸前高田において有望な品種。現在、「アルバリーニョ」は世界的に認知が広がりつつあります。「ドメーヌミカヅキ」では「アルバリーニョ」における専門性を追求し、その可能性を広く提供するワイナリーを目指しています。
今年の挑戦は、「起業から経営へ」。農業とて会社です。起業することと経営していくことは別次元なので、様々な人を巻き込み経営をスケールさせていきたいです。よろしくお願いします!
ドメーヌミカヅキ
HP https://domaine-mikazuki.com/
及川恭平(おいかわきょうへい)
ドメーヌ ミカヅキ
岩手県 陸前高田市
1993年岩手県生まれ。高校2年時に地元・陸前高田市で東日本大震災を経験。残された自分が生きる意味を問い、地元産業の担い手になることを決意。醸造、法律、テロワール(味や性質を左右する土壌や気候、職人の技術などとりまく環境のこと)理論、営業、経営の知識を身につけ、2020年帰郷。リンゴとブドウの栽培を始め、2021年3月、ワイナリー「ドメーヌ ミカヅキ」を開業。自家醸造所の建設も視野に、まちづくりに貢献する経営を目指す。
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