2015.12.17
兼業農家でもいいじゃん!
私は就農当時から、兼業で東京のITの仕事をしているのですが、
いろんな農家さんから「品目を絞って専業農家にならないと食えないよ」
「ハウスや機械に投資し、農業1本でやっていくのが農家だ」
「大野さんのところのように住宅地の中で農業をしていくのは無理だよ、
移住して面積拡大すべきだよ」という声を頂きました。
私のように半農半ITでやっているのは中途半端だと。。
ちょうど同じ時期、実家の築90年の古ぼけた納屋を妻と2人で掃除して、
ままごとのようにお米屋をやり始めました。
すると、ご近所さんもお客さんも、「お家が生き返ったねーいいねー」と喜んでくださり、
徐々に自分の気持ちも、「実家のこの場所を生かさずに、他の地域に移住して専業農家になったとしても、心からは喜べないな、この場所で農家をしていこう。」と思うようになりました。
(納屋を改装し、お米屋を始めた当初の様子。)
(以前の納屋の様子。昔は農作業の合間にお昼ご飯を食べたり、漬け物の樽を置く場所として使われていました。)
そしてある時、昔からのお付合いのある地元のおじさんに、
「大野の先祖は農業しながらも、お坊さんも大工も医者もいたみたいだよ!」と聞かされ、ハッとしました。
なんだ 兼業農家してたんだー。職業もいろいろだったんだ。
よくよく考えると、昔はもちろんスーパーもなく、専業・兼業とかの区別なく
多くの人が米や大豆など作物を育て、農に関わるのが当然の時代だったのだと思います。
そう気付いてからは、農業との関わり方を他人と比べるのではなく、
与えられた環境を精一杯生きようと思えるようになりました。
特に就農初期は、アルバイトや副業もやりつつ、会社員の人は仕事を続けながら、
徐々に農に関わるなどでも良いと思います。
むしろ農の世界に勢いで入ったはいいが、心折れてやめてしまうより
複数の収入源を持ちつつでも、農に関わり続ける事の方が強い事なのかもしれません。
ということで、
「兼業農家でもいいじゃないか」と自己肯定しながら、前に進もうと思います(笑)
人間は食べものから作られる
大野收一郎(おおのしゅういちろう)
奈良県 奈良市
食べ物を作る農家が、もっと注目される必要性があると、自らも作り手となる。東京のIT企業役員を経て昨年就農。1968年生まれ奈良県出身。