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2017.12.08

収穫の冬、目前

つい先日、全国的に急に冷え込んだ朝、能登では初霜が降りました。
レンコン田の水溜りが凍り、山では1年目のホダ木から原木椎茸が芽を出し始めました。

やばい。ホダ場の準備が追いつかない。
レンコンと原木椎茸という、いずれも冬本番の作物をやっていると、力の入れ具合によってどちらかの作業が手薄になり、年末を目前に焦りまくることがこの時期の慣例のようになっています。
特に、注文が入り収穫を待つばかりのレンコンに対し、収穫前の準備というか、古いホダ木の整理など後片付け的な側面もある原木椎茸の作業は、ついつい後に回してしまいがちで、
よって大概この時期は、山を見上げて椎茸を気にしながらレンコンを掘る。という、浮気中の夫のような心境で日々を過ごすことになりがちです。

それに加え、今年の山仕事は問題課題が盛り沢山。
特に問題なのは原木の調達で、山を共同管理しているもう一方のグループのおじ様達から、
「残り少なくなった適齢のコナラをお前達ばっかり伐るな」と、会合の場で言われ、あてにしていた区画の伐倒ができなくなってしまい、
それが不安のタネとなって、ますます浮き足立っているというか、大きな問題から目をそらしたいがためにレンコンを掘っているような、もっぱら逃避的な反応として日々の作業をこなした結果としての今の心理状態という、自分でもよくわかっているだけに立つ瀬のない現状です。

その後、方々ツテを頼っていたところ、最近になって原木を伐らせてもらえる山は見つかったのですが、今度はいつ伐りに行こうか、早くしないと雪になるし。と心配のタネは尽きません。
いつか、スカッと心が晴れ渡るような、そんな日が来るのかなあ。
思わず視線が遠くなります。

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(早くしなきゃと焦るだけの僕と違い、黙々と作業を進めてくれる一郎さん

そんな折、今年から引き継いだ漬物グループの引継ぎ式を兼ねた懇親会がありました。
これまで何となく引き継ぎ期間が続いていたのですが、これで区切りとなります。
先代のお母様方のご好意で、これまでの売上金の中から、懇親会費と、そしていつか加工場を閉める日のために貯めておいたというお金を預かりました。
お花を贈呈すると、涙を浮かべて喜んでくれました。
色々あるけど、頑張らなきゃなあと、思えた瞬間でした。

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(やっと肩の荷が下りた感じで優しい表情のお母様達。これからは、僕の両脇にいる山さん(左)とやまぴー(右)の2人に手伝ってもらいながらやっていく予定です。)

challenger

新田聡

新田聡(にったさとし)
石川県 羽咋市

1969年石川県生まれ。震災で居住地の放射線量が高くなったことを機に、生きる道を模索し農業を選択。2013年、出身地の小松に近い羽咋市で「ウッドランドファーム」を開く。人が集う「山の駅」を作りたい、山で音楽祭を開催したいなど夢が広がる。

写真家の眼 新田聡

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