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2017.08.25

ある人達との出会い

田んぼの稲穂が顔を出し、実りの秋に向けての作業日程が目前に迫る頃、
僕の山では収穫の“冬”に向けての作業が始まります。

例年、田んぼや子供の夏の行事に気を取られてついつい遅れがちになるのですが、
冬の到来が近づくにつれ加速度を増す業務を円滑にこなすために、予めやっておかなければならない作業が膨れ上がり、来るべき冬の様相を思い出させてくれるのがこの時期です。
 
僕の農園の主力、原木椎茸のホダ木(椎茸の種駒を植え付けるための原木)は
現在約4000本。原木椎茸の生産者としては、中小規模といったところです。
4〜5年で更新されるホダ木を現在のレベルで維持していくには、
毎年1000本程度新たなホダ木が必要になります。
そのホダ木を確保するために、毎年100本を超えるコナラを伐採しなくてはなりません。
43haの里山をもってしても、原木椎茸の生産を持続的に行うには、このくらいが限界なのかもしれません。

原木椎茸の作業は、晩秋から冬に行う、木の伐倒から始まります。
倒した木を冬の間、山にそのまま置いておき、
春、玉切り(栽培しやすいホダ木のサイズに切ること。基本1m幅。)し、
山から運び出し植菌。
風通しの良い半日陰に横にして井桁に積み上げ、秋まで菌の活着を促します。
芽が動き出す(出始める)低温の日々が始まる直前にホダ木を起こし、収穫の体制を整え、
11月から4月上旬までが収穫期。というのが大雑把な流れで、秋から春に主要な作業が集中します。

よって、この夏の時期は作業に追いまくられるようなことはないのですが、
やがてくる農繁期に備えて、今のうちにやっておかないと大変なことになるいくつかの作業があり、田んぼの仕事とともに、この時期汗だくでやっています。

そんな作業の一つが「薪作り」です。
椎茸の原木を作る過程で、太すぎたり、痛んでいた原木を自然乾燥させておき、この時期に薪にして販売できる状態に縛る作業なのですが、
玉切りし、薪を割り、既定の重量で縛って積み上げるという一連の作業は、一人でやっていると効率が悪く、先を考えると気が滅入ります。

この薪作りから椎茸の収穫、植菌までの一連の作業も、強力な仲間が手伝ってくれています。
それが障害者の就労支援施設・カフェ夢生民(ムーミン)の仲間たちです。
薪割り作業も2年目を迎え随分慣れてきてくれました。

彼らについてはまたいずれ書きたいと思いますが、彼らの丁寧で何より楽しんで仕事をしてくれる姿勢に随分僕も勇気付けられ、また仕事上も本当に助かっています。
新規就農者にとってはいいパートナーになれる存在だと思いますよ。

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(薪割り。山仕事のレギュラーメンバー、カフェ夢生民の清水さんとたっちゃん。)

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新田聡

新田聡(にったさとし)
石川県 羽咋市

1969年石川県生まれ。震災で居住地の放射線量が高くなったことを機に、生きる道を模索し農業を選択。2013年、出身地の小松に近い羽咋市で「ウッドランドファーム」を開く。人が集う「山の駅」を作りたい、山で音楽祭を開催したいなど夢が広がる。

写真家の眼 新田聡

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