2017.06.23
酒の肴も作ってます
5月中旬から6月中旬にかけて、僕の農作業のリズムを作るのは、
週一ペースで行う田んぼの「チェーン除草」になります。
田植え間もない田んぼに入ってチェーンを引きずって回ることで
草の出鼻をくじき、且つ泥の中に溜まりがちなガスを抜く意味合いの作業なのですが、
始めた当初は通りがかりのおじさまたちに、
「田植えあとになんで苗を踏んづけて歩いとるんや!」とよく怒られたものでした。
ですが、さすがに4年目ともなると慣れてきて
「今年も頑張っとるなあ、オラそんなことようやらんわ」となり、
ある意味この地区の季節の風物詩的なものになりつつあります。
(チェーン除草:田植え直後から1ヶ月の間に4、5回入るチェーン除草。最後の方はほぼ草むしりとなります。)
(こちらがチェーン除草機:水面につく棒の先にチェーンをすだれ状に取り付けています。このまま売っているわけではないので、ホームセンター等で材料を調達して作ります。)
これから2、3ヶ月の間は、山の椎茸と里のレンコンのどちらも生長をあたたかく
見守る時期に入り作業に追われるようなことは無くなります。
そのため、僕の営農上の課題はこの農閑期の収入源をどうするかということが
大きな比重となるわけですが、これがそう簡単にはいきません。
中途半端にやってもほんの小遣い程度の収入にしかならないし、だからと言って、
ガッツリ畑や田んぼをやると9月10月のレンコン&椎茸の開始に支障が出る。
さあどうしようか、と考えつつ、現状僕が採用している解決策は、
“人と一緒にガッツリやる” という方向性です。
我ながら何と虫のいい考え方だろうとも思いますが、やってみると、
これはこれで結構大変なんですよ。まだ実験段階みたいなものばかりですが、
以前のブログで紹介した漬物グループの後継ぎ就任なんかはその代表みたいなものです。
そのほか、後継者のいなくなった梅の栽培を農家仲間ではじめたり、
いずれは米をもっとガッツリ栽培できないかと画策したり、
と、何だか定まらないことを色々考えているわけです。
結果どうなるかというと、「なんかまた変わったことはじめたぞ」となり、
ひいてはこの地域のルーティンな話題に、フレッシュな旬の酒の肴を提供する
希少な存在という認識が地域に共有されていくことになります。
とても複雑な心境です。
そんな中、今年もスイカ農家では一番生りの摘果が始まり、それに伴い、
漬物グループの重要な作業であるスイカ拾いのミッションが突発的に発生。
梅林では青梅の収穫が始まりました。
“古い船を今動かせるのは古い水夫じゃないだろう・・・
古い水夫は知っているのさ 新しい海の怖さを”
吉田拓郎の「イメージの詩」という曲の歌詞が妙に胸に刺さる今日この頃です。
(スイカ:広大なスイカ畑で拾ってきたスイカはその日のうちに塩漬けにしなきゃいけません。)
(青梅:自然栽培の仲間でやるんだから当然自然栽培。よって綺麗なものはまだ少ないです。)
新田聡(にったさとし)
石川県 羽咋市
1969年石川県生まれ。震災で居住地の放射線量が高くなったことを機に、生きる道を模索し農業を選択。2013年、出身地の小松に近い羽咋市で「ウッドランドファーム」を開く。人が集う「山の駅」を作りたい、山で音楽祭を開催したいなど夢が広がる。