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2017.06.05

プロかアマか

「自然栽培」という言葉、聞いたことありますか?

農薬・肥料・除草剤を使用せず、作物にとって最適な農地の物理的状態と生物多様性を作り上げることによって、健康で滋味溢れる作物の栽培を目指す考え方なのですが、
僕のいる石川県羽咋市(はくいし)は、その自然栽培を市とJAが協力して推進しようとしている全国でも珍しい地域です。

僕の当地の後見人である故・芝田正秀さんがJA組合長時代に始めた事業ということもあり、僕も毎年自然栽培でお米を育てています。

先日、その自然栽培の田んぼで、田植えをしました。
晃一さんという、強面で性格もアウトローな近所のお兄さんが毎年家族で手伝ってくれています。
僕が当地に移住して、最初に飲みに誘ってくれたのもこの晃一さんで、以来4年間、町のしきたりや経営上の課題など、ジャンルを問わないよろず相談窓口であり、大切な友人です。

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(繊細にしてアウトローな晃一さんの後ろ姿)

加工品の開発では、農事・家事に精通する頼れるお姉さん・山さんの存在がなければ、とてもやれません。この人も移住当初から何かと気にかけてくれた人。

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(奥が山さん。お年寄りも一目置く農事・家事のマルチプレイヤー)

そして、前回のブログでも紹介した体験プログラムでは、いしかわ自然学校インストラクターの仲間や先輩が、毎回素晴らしいプログラムを作り上げています。

僕は、自分の農園の事業として様々なことをやろうとしていますが、何ひとつとして自分だけでできる仕事はありません。お米やレンコン、椎茸など、柱となる農作物の栽培さえ一人ではできないし、ノウハウも十分ありません。
そういう意味では、完全なアマチュア農家ですね。

ただ、人と食と自然の理想的な連携を目指す僕の農業では、そうしたアマチュアの視点と、多くの人の繋がりが不可欠だとも思っています。
いつか、そんな人たちの蒔いた種が様々に花開くように。
そのための農園を作りたいと僕は思っています。

山では原木椎茸の植菌が終わろうとしています。
ここでも、僕は誰かの助けがないと仕事が回せません。ここでのパートナーは障害者の就労支援を行う法人「つながり」の人たち。

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(丁寧で、何より明るく仕事をしてくれる「つながり」のメンバー)

思いを持った人たちとともに、ここにしかない農業を作り上げる。
そのことのプロになりたいと思っています。

challenger

新田聡

新田聡(にったさとし)
石川県 羽咋市

1969年石川県生まれ。震災で居住地の放射線量が高くなったことを機に、生きる道を模索し農業を選択。2013年、出身地の小松に近い羽咋市で「ウッドランドファーム」を開く。人が集う「山の駅」を作りたい、山で音楽祭を開催したいなど夢が広がる。

写真家の眼 新田聡

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