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2017.08.24

有機稲作の雑草対策あれこれ その2

前回のブログでは田植え前の有機稲作の雑草対策についてお伝えしましたが、
今回は「田植え後の対策」について5つ紹介したいと思います。

①「深水(ふかみず)栽培」
田植え後20日間くらい、5~10cmの深水栽培を続けているとヒエがほとんど生えません。

②「米ぬか散布」
田植え直後に米ぬかを反当り50~100kgまくと、分解するときに出る有機酸が雑草の芽や根にダメージを与えます。米ぬかにくず大豆や小麦ふすまを混ぜて、ペレット(原料を圧縮して粒状にしたもの)にする人も。

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(米ぬかペレット)

③「チェーン除草」
田植え数日後に、チェーン除草機を引いて歩きます。チェーンが土の表面を少し削ることで、芽生え直後(1cmくらい)の雑草がよく浮いてきます。
また、浮かした土で2~3日間くらい水が濁るので、それで雑草の生育が遅くなるのかも。

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(チェーン除草機)

④「田転(たころ)がし」
アルミ製の人力タイプとエンジン式があります。人力タイプは体力自慢向き。エンジン式は10万くらいしますが、直接草を削って浮かすので、効果は抜群です。
チェーン除草で取れない大きくなった草でも取れるので、あると安心です。

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(エンジン式田転がし)

⑤「生物除草」
代表的なのはアイガモ除草。私の師匠金子さんの農場でもやっておりますが、柵作り、毎日のエサやりなど手間のかかる面もありますが、草は一切生えず、効果は絶大です。
アイガモのほか鯉やドジョウによる方法もあるようです。養殖を目的にしなくても、ミジンコ、ユスリカ、カブトエビ、浮き草、色んな藻・水草を上手く活用すると雑草を抑えられます。


沢山の先人たちの知恵・工夫のもと、今の有機稲作の技術があります。
でも本を読んでそのまま技術を取り入れてもなかなか上手くいきません。

色んな手法がありますが、大事なポイントは稲、土、雑草、田んぼにいる微生物を含めた生き物たちのこと、その土地の気候・環境をよく知ることなのかなと感じています。

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仲澤康治

仲澤康治(なかざわこうじ)
埼玉県 小川町

1984年茨城県生まれ。千葉大学園芸学部で学び、有機の農業法人に就職。原発事故を目の当たりにし、もう一歩踏み込んで農業を中心とした有機的な生活を志す。埼玉県小川町の霜里農場で研修し、2014年に小川町で独立。「そらつち農場」を始める。

写真家の眼 仲澤康治

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