2017.08.05
有機稲作の雑草対策あれこれ その1
今、田んぼは、水を抜いて土を乾かして、稲の草丈を抑えて、倒伏しないようにする
「中干し(なかぼし)」という時期になっています。
この時期になれば、稲もある程度大きくなって草には負けなくなります。
雑草との格闘も一段落ということで、今回は有機の田んぼの雑草対策について色々語ってみたいと思います。色んな技術があるので、独立して3年目の新米なりに少し整理して、田植え前と田植え後の対策に分け、全2回でお届けします!
今回は「田植え前の対策」について6つ紹介したいと思います。
①「苗作り」
雑草を抑える効果がある「深水(ふかみず)栽培」にするため、まず、大きい苗にする必要があります。小川町では、ポット育苗をする派とマット育苗で薄まきにする派がいます。
(以前のブログでも書きましたが、私はポット育苗派です!)
②「2度代(しろ)かき」
以前のブログでも登場した2度代かき。
1回目の代かきで雑草の種を一度発芽させて、2回目の代かきで雑草を浮かす、という手法。
土が細かくなることでトロトロ層(水田の表層数cmにでき、雑草の種が埋没しやすいので抑草に効果がある)も出来てきます。
気温にもよりますが、6月位になると、1回目の代かきから10日程でコナギという雑草の芽が出てくるので、出てきたら2回目をやるといい感じです。4月、5月では気温・水温が低くなるので、少し間隔が長くなってくるようです。3度かきでも可。
③「早期湛(たん)水」
早めに水を張ることで藻を増やして、それを雑草対策に活用します。
(藻)
④「転作」
小川町下里地区では、田んぼを3ブロックに分け、米→米→麦→大豆という2年3作のブロックローテーションによる転作を行っています。一年畑状態にすると水田雑草が減るというのもある他、大豆の後の稲作りはコナギが少なくなるようです。
(大豆の転作)
⑤「土作り」
米ぬかを中心にした発酵肥料、牛ふん堆肥などで土作りをすることでトロトロ層が出来やすくなるようです。田んぼの生き物(微生物からミジンコ、ユスリカ、カブトエビ、色んな藻、水草など)を増やす作用が大きいと思われます。
⑥「草のことを知る」
雑草と一言でいっても、それぞれ特徴があります。コナギ、ヒエ、クログワイ、ホタルイ、オモダカ、などなど。発芽適温、発芽の習性、生育適温、越冬方法、繁殖方法などそれぞれ違うので、しっかり把握している必要があるなと感じます。
(代表的な雑草、コナギ)
次回のブログでは、田植え後の対策についてご紹介します!
仲澤康治(なかざわこうじ)
埼玉県 小川町
1984年茨城県生まれ。千葉大学園芸学部で学び、有機の農業法人に就職。原発事故を目の当たりにし、もう一歩踏み込んで農業を中心とした有機的な生活を志す。埼玉県小川町の霜里農場で研修し、2014年に小川町で独立。「そらつち農場」を始める。