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2018.06.12

肉豚が出荷されるまで①

一般的な肉豚は、生後180日前後で出荷されます。
1kg前後で産まれて、わずか半年間で約115kgにまで成長します。
恐るべき成長速度!

その成長に応じて、飼育環境やエサを変えていきます。
養豚家によって考え方や方法は異なりますが、うちでは成育段階を
4段階(①哺乳期、②離乳期、③肥育前期、④肥育後期)に分けています。

①哺乳期(0~25日齢)

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哺乳期間中は、分娩室の中で母豚と一緒に過ごします。
母豚の適温は約20度、子豚の適温が30~35℃のため、母豚には涼しく、
子豚には暖かい環境を、同じ空間に作らなければなりません。
そこで、保温箱と呼ばれる空間(写真右側)をヒーターで暖めて、子豚の寝床にしています。
子豚は保温箱には自由に出入りできます。

牛とは違い、豚は乳を貯める器官が発達していないため、1度にごく僅かの乳しか出せません。
そのため、授乳回数は1日20回に上り、子豚は好きなタイミングで母乳を飲みます。
7日齢を過ぎると、人工ミルクなどで徐々に餌付けをしていき、
離乳(母豚を子豚から離すこと)の準備を始めます。

②離乳期(25~70日齢)

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哺乳期間が終わると、母豚から離れ、子豚だけでの生活が始まります。
兄弟以外の豚と同居し始めると、群れの中で順位決めをするために激しいケンカをします。
ケンカは大きなストレスとなり、食欲や免疫力の低下につながるため、
離乳直後は弱っている豚がいないか頻繁にチェックします。

また、離乳前期は子豚の体内の消化酵素が変化します。
ミルクを消化するタイプから、固形飼料(穀類など)を消化するタイプに切り替わるため、
エサも穀類中心に変えていきます。
エサは鼻でつつくと出てくる給餌器(写真左上の緑色のもの)で好きなだけ食べ、
1日300~500gのペースで成長していきます。

次回はこの続きからご紹介します!

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村上昭平

村上昭平(むらかみしょうへい)
北海道 上富良野町

1989年北海道生まれ。北海道大学経済学部卒業後、東京の外食企業やコンサルティング会社で働く。家業を継ぐと決めてから有機農業の学校に通い、2018年1月に家族が営む「農事組合法人一心生産組合」で就農。伯父、父、母、従兄や兄弟と共に大家族で働く。

写真家の眼 村上 昭平

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