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2020.11.19

自家採種で大切にしていること (前編 品種の選定)

遂に霜が降り 遠くに見える大きな山は白くなりました。
山間の畦畑地区は 日に日に太陽の差す時間も短くなり
16時頃には外仕事を切り上げています。

この時期は畑の片付けをしながら晴れ間に来年に向けての種とり仕事をしています。
農園では現在25種前後の品種を自家採種しています。

自家採種している種は 購入したもの 地域の方から分けていただいたもの、 
師匠から受け継いだものなど様々。
全てが自家採種ではなく F1種やPVP種子なども育てています。

自家採種する品種は 
「とにかく何でもたくさん増やしたい」というのではなく

・自分が思う美味しさがある
(香りや食感を特に意識)

・形や味が特徴的
(奇抜なわけではなく、食べるときに特徴が活きるか活きないか)

・栽培・採種しやすさ
(地域の環境に合っている 病害虫に強い 交配種と同等の収穫量がある)

・感覚的に自分の性格に合う
(毎日一緒に過ごすとリズムの相性が出てくる)

主に以上のことを思って
毎年 新しい品種にも挑戦しながら育て続けたい品種を選定しています。

今年新たに挑戦して自家採種を決めた品種を紹介します。

morimoto15-1

「つるむらさき(紫茎)」
よく見かける『つるむらさき』と言えば緑茎のものが多いですが なんで紫という名前が付くのに紫色じゃないか?不思議でした。今年紫の品種も見つけ緑の品種と比較栽培してみましたが 緑品種は紫と比べ 茎が太く重く出荷向きということに気が付きました。
元々 紫品種は食用としてではなく 実を染料とするために江戸時代に渡来してきたのだそう。茎は細いですが美味しいし 実(種)を良くつけます。花も愛くるしく美味しい。汎用性の高さもあるので自家採種することにしました。

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(実をインクに)

morimoto15-3

「レッドベルベットレタス」
カルフォルニアの固定種レタス サンチュなどの掻きチシャ(レタス)の仲間 玉レタスやフリルレタスより難度が低く継続性が高いと思います。掻く手間はありますが 選別は楽。掻くことによって表面積が増え 袋詰めしたときに多く見えます。紫の色が濃く美しい。

morimoto15-4

(サラダに)


次回はどんな株(母本)を残し 
自家採種を通してどの様な野菜つくりを目指していきたいか
お伝えしたいと思います。

今年の新米の精米も終わり 
ご飯が美味しいです! 今日もよく働いてよく食べます!


ソヤ畦畑(うねはた) 森本悠己
facebook:@soya.unehata
instagram:SoyaUnehata
農園の日々はこちらをご覧下さい。

challenger

森本悠己

森本悠己(もりもとゆうき)
ソヤ畦畑(うねはた)
岐阜県 飛騨市

1985年岐阜県生まれ。東日本大震災を契機に生き方を考え直し、食の分野で故郷の資源を活かせる仕事に就こうと決意。「土地の個性」「土の力」を最大限に活かして素材を輝かせる自然栽培に活路を見出し、2017年4月「ソヤ畦畑(うねはた)」を開く。自家採種や固定種・在来作物の栽培を通じて、野生味あふれる美味しさ、美しさ、楽しさ、種や命の儚さを表現していきたいと語る。

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