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2015.10.25

地元の伝統野菜を守る

季節は10月中旬。
長野市の朝は10℃を下回り、あっという間に寒い季節がやってきます。
この気温で夏野菜は終わりを迎えました。

今年の夏、新たなチャレンジとして畑で行ったことがあります。
それは、「伝統野菜の種の継承」。
私が就農した長野市松代町には「松代(まつしろ)一本ねぎ」と「松代青大(まつしろあおだい)きうり」という、二つの伝統野菜があります。そのうちの一つ「松代青大きうり」を、ご縁ありまして今年から育てることになりました。

「松代青大きうり」は、長野市朝陽地区で栽培されていた種が昭和30年頃、松代町に持ち帰られ、
栽培が始められたとされています。当時、松代周辺で見たことがないきゅうりということで
注目を浴び、美味しさでは他のきゅうりでかなうものがないといわれた野菜です。そのため、
広く栽培されることとなりましたが、病気になりやすく栽培が困難で、収穫量が通常のきゅうりと比べて少ないことから、あきらめる方が続出し、近年では、松代在住のご夫婦(原田さん)のみが他種との交配を防ぎながら、原種を守り続けていました。しかしご高齢のため栽培が困難となり、平成23年より松代の八百屋さんである「野菜のカネマツ」が原田さんから種を継承していました。

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果実は19~21センチほど、円柱状でまん中が太く両端がしだいに細くなる紡錘形で、
華南型(中国系の春きゅうり)雑種の青大きゅうりの一種と言われています。
皮が薄く、果肉も柔らかい。生食、味噌漬、一夜漬けに合います。

「その伝統野菜を絶滅させることなく、地域活性の一助としたい。」そんなカネマツさんの思いがあって、私ともう一人の地元のきゅうり農家さんとカネマツさんの3人で、「松代青代きうり」プロジェクトが始まりました。

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私は無農薬・無化学肥料での栽培、もう一人の農家さんが慣行栽培にて4月から種を蒔き、栽培方法や、収穫量などのデータを収集し、何とか安定的に栽培する方法とその魅力を発信することを行ってきました。
今年の実績値によると、収穫量は通常のきゅうりの2~3割程度で、大きさ、味、形など我々の基準を満たす品質のものはかなり少ないという結果でした。生産者がたった一人になってしまった理由を改めて実感する結果でした。

我々も趣味の農業ではなく、経営として農業に携わっている限り、このきゅうりでしっかりとある程度の利益を確保したいというのが本音です。しかし一方で、この地域の伝統野菜の種を守りたいという思いも強く、我々の挑戦は来年以降に続きます。
今期は終了してしまいましたが、来年度、是非応援よろしくお願いします

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その他の挑戦者

  • 今村直美・細渕有里
  • 大野收一郎
  • 佐藤友明
  • 千葉治
  • STL編集部

challenger

宮﨑康介

「野菜」も「人」も笑顔に!
宮﨑康介(みやざきこうすけ)
長野県 長野市

「食べる・知る・触れる」農業に挑戦中。飲食業界にて勤務後、「農」と「食」で人を笑顔にするべく、昨年就農。1975年生まれ神奈川県出身。

写真家の眼 宮﨑康介

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